我が家ではPCオーディオを楽しんでいるのですが、アンプとスピーカーを入れ替えた事で音の傾向が変わってしまいました。そこで今回はオーディオソフトを見直した話です。
■現在の再生ソフト
これまではメインプレイヤーとして「AIMP3」と「foobar2000」を使い分けていました。
基本的にはAIMP3を使いつつ、AIMP3ではDSDファイルのネイティブ再生が出来なかったのでDSD再生だけはfoobarを使う。という感じです。
ところが、アンプとスピーカーを換えた事でAIMP3はその特徴が強く出過ぎてボーカルが引っ込んでしまいました。そのせいか少しボーカル周りが乾いた印象にもなります。そこで折角の機会なので新しいオーディオ環境に合うプレイヤーソフトを探すことにしたのです。
■再生ソフト比較
今回、検討の為に追加したのはInfinity Blade(Bughead emperorの高音質版)、JRiver Media Center(通称JRMC)、TuneBrowserです。またAIMPは3から4へバージョンアップしています。
foobar2000
非常にフラットで癖のない音です。深みや艶っぽさは乏しい印象ですが、非常に聴きやすい音なのでPOPSのような音数が多いボーカル曲などは心地よく聴くことが出来ます。
AIMP4
このソフトの特徴はとにかく「濃い」という事。低域の厚みと豊かさが抜群で、全ての帯域において楽器を艶っぽく鳴らしてくれます。3から4に変わってもこの基本的な特徴は変わっていない印象。ちょっと4になってボーカルも前に出てきた気がしますので、改めてこれ1本でもいい気がしますが、今の機器との組み合わせでは濃すぎる感じもします。Jazzやアコースティックな感じの曲ではボーカルと楽器の生々しさはとても良いものの、POPSなどではちょっとアンバランスな音に感じます。(下記画像は3の時からのお気に入りスキンで、4でも利用できています)
JRiver Media Center 21
以前20をインストールした事がありますが、改めて再評価の意味も込めて21をダウンロードしてみました。試用版で30日使用できますので気に入れば有償購入したいと考えていました。
実際聴いてみると、AIMPやfoobarと比べて情報量が多い気がします。特にボーカル周りの音数が増えた印象。全体のバランスは悪くないのですが、我が家の再生機器との組み合わせでは少しゴチャついて聴こえます。
TuneBrowser
割と新しいプレイヤーですがハイレゾ音源の対応もしっかりしており、ビジュアルデザインや挙動のアニメーションなどが非常によく出来ています。フルバージョンは1,400円(税抜)というシェアウェアですが十分その価値はあるんじゃないでしょうか。
音は今回比較したソフトの中で「最も特徴がない音」だと感じました。逆に言うと、非常にフラットでバランスが取れた音です。騒がしい曲からしっとりした曲まで、何を聴いても嫌な感じがしないのでザ・デファクトといってよいかもしれません。最も音が近いと感じるのはfoobarです。曲によってfoobarよりおとなしく感じたり、しっかりとした音色に感じたり、ソースによって印象が逆転するのが面白かったですね。
Infinity Blade
最後はInfinity Bladeです。このソフトは「Bug head emperor」というソフトの兄弟分として途中から派生したプレイヤーで、開発者の方曰くBug headがオーディオ的、Infinity Bladeがモニター的との事ですが、最近の開発ではInfinity Bladeの方が高音質上位版と位置付けられています。また、最近のバージョン(beta等)ではノーマルとSQ、TQ、更には多数のエディションに分かれましたが、Ver.5.90で無印のみに戻っています。目まぐるしく開発がされているソフトですのでこの辺りもどんどん変わっていく予感です。
ちなみにこのソフトは個人の方が開発したフリーソフトなのですが、その音質は随一との評価がされています。画面周りも無骨な感じで今どきのオシャレなUIとは全く異なりますが、その音の良さは一聴して分かりました。JRMCのようなゴチャつき感がなくスッキリしており、AIMPのような帯域バランスの悪さもなく、とても瑞々しい輪郭のしっかりした音楽を奏でてくれます。特にJazz、クラシック、アコースティックな音源では№1といっていいと思います。
音質では抜群のプレイヤーですが、このソフト非常にPCのパフォーマンスを要求します。マニュアルを見ると、3コア以上の高クロックCPU、データは高速SSDに保存、推奨メモリは32GB、電源は80Plus Silver以上(推奨は1050W)、GPUはMB標準ではなく外部グラフィックカード、LANは高品質なIntel製、DACと接続するUSBもMB内蔵ではなく拡張カードで、などなど具体的な型番まで例が挙げられる程の細かいスペック指定がされており笑いが出る程です。未だかつてこんな高性能なスペックを要求するプレイヤーソフトを見たことがありません。
我が家のPC環境は下記状況ですから再生には支障はないものの推奨環境からは程遠い感じです。
CPU Core i7 2600K(クリア)
データ システムはSSDですがデータはHDDに保存(未クリア)
メモリ 8GB(未クリア)
電源 80Plus Gold 750W(半分クリア)
GPU 外部カード(クリア)
DAC MB内蔵(未クリア)
LAN Intel製(クリア)
まずソフトを起動させ、設定画面を開くとASIOドライバの選択になります。うちの場合はOPPOドライバを使います。
次に、詳細設定画面に移動します。完全にBIOSですよねコレ(笑)
赤色がON。青色がOFF。なのですが、下記のようにプルダウンやメモリ設定、チェックを行います。SelectMode2(右側のメニュー)の上部に「Sound quality degradation」という表示がありますが、これが設定をいじる度に数字が変わっていきます。最初は50%でしたが設定を変えていくと20%になりました。その分音質の劣化レベルがマシになった。という解釈ですが、私の環境ではこれが限界。
また、右メニュー中盤にある「Disable stardust mode」というところをクリックすると「Disable→Stardust→Stardust×2」とモードを切り替えられ、その分再生前の調整レベルが深くなって音質が向上すると言われています。これはスペックとは関係なく選べるのですが、高音質にするほどに再生までにかかる時間が延びます。
実際に試してみました。
Disable
再生までに掛かる時間:13秒~19秒
停止に掛かる時間:3秒
Stardust
再生までに掛かる時間:35秒~50秒
停止に掛かる時間:25秒
Stardust×2
再生までに掛かる時間:59秒~63秒
停止に掛かる時間:40秒
再生するファイルやその都度によっても多少時間がぶれますが、DSDでもWAVでも5分の曲でも20分の曲でも大きな違いはありませんでした。ちなみにアルバムなど複数曲セットして連続で聴いている場合は曲間で待たされることはありませんが、途中でスキップして次の曲に行った場合はやっぱり待たされます。
正直再生にこれだけ待たせるのも凄い。他のどんなソフトでも普通は再生ボタンを押したら1秒くらいで再生が始まります。でもこのソフトは再生ボタンを押してから曲が始まるまで、一番ライトな(低音質な)モードでも10秒以上かかるんです。許容できるレベルかと言われるとかなり微妙でしょう。更に、音質設定を上げてStardust×2にすると1分間再生を待つことになります。さすがにこれは毎回待てません。そもそもソフトを起動させる時もファイルが選べるようになるまで10秒以上かかります。でも「音がいい」という絶対尺度からすると、今更他のプレイヤーで妥協しづらいですよね。えらいソフト作ってくれたもんですよ。これ・・・。
■プレイヤーソフトまとめ
5つの特徴を並べるとこんな感想になりました。
foobar
フラット、帯域バランスも良い。POPSなどを心地よく聴かせてくれる。
AIMP4
濃い。深い。低域が豊か。どんなソースでも迫力のある音楽に替えてくれる。再生機器によってはクセが出過ぎてボーカルのバランスが崩れる。Jazzなどの楽器が少なめの楽曲に向いているか。
JRMC
情報量が多い。帯域バランスは良い。我が家の再生機器ではボーカル周りがざわつく感じがしてあまり心地よくない。
TuneBrowser
フラット、帯域バランスも良い。foobarと似ているが、少しこちらの方が音楽的な心地よさが上か。
Infinity Blade
スッキリクッキリ。AIMPほどの濃さがなく、インスト曲やアコースティック曲ではこれが一番マッチする。
5つのプレイヤー比較では、我が家ではInfinity bladeが最も良い音です。AIMPの方が濃くて低域もぶ厚いんですが音楽としてのバランスで言うならInfinityBladeの方が上だと思います。また、POPSなどを聴くにはTuneBrowserやfoobarがナチュラルで心地いいですね。
という事で、どのプレイヤーを選ぶかではなく「ソース次第で使い分けるべき」という結論になってしまいました。中でも主力ソフトとして小編成 or 生楽器は「InfinityBlade」打ち込みなど多重音は「TuneBrowser」といった使い分けになりそうな気がします。もっと濃い音を求める時は「AIMP」。TuneBrowserでしっくりこない時は「foobar」といった感じでしょうか。唯一「JRMC」だけは出番がなさそうです。
大事なのは、ソフトだけを見て評価は出来ない。という事ですね。我が家のDAC、アンプ、スピーカーという個性があった上で、プレイヤーソフトとの相性は決まります。もちろんソースにも大きく左右されますね。ですから、違った環境で聴けばAIMPですら薄い(だとするとfoobarなんてペラッペラ)。とか、foobarですら濃い(だとするとAIMPなんて騒音でしかない)。という感覚のスライドが起こる気がします。ただ概ね「傾向」としては合っていると思いますので、これを基準に環境が変わればまた見直しが必要になると思います。
今後の期待は、PCのスペックが上がった時、InfinityBladeが更に化けてくれるのかどうか。です。近々PCのグレードアップを図ろうかと画策していますのでその時はまた試してみたいと思います。
2015年12月26日追記)
PCのメモリを32GBに換装しましたのでInfinityBladeを改めて設定しました。z Tuneの設定が変わり「メモリセット8GB×4枚」で8.のDouble Sided Mounting Memoryもオンにすることで、右上のモード表示が待望の「High class Professional」に辿りつきました。
タスクマネージャーでもマニュアル値に近い常時2.8GB運用となっています。(状況に応じて多少上下するようです)
最近専らInfinityBladeばかりで聴いています。情報量の多いPOPSについても他のプレイヤーでは何となく味気ないので、どのジャンルでもInfinityBlade 1本で楽しめそうです。他のプレイヤーは「再生まで10秒以上待てない」というようなチェック用途で利用するくらいですね。
ちなみにASIOドライバーは「OPPO USB AUDIO 2.0 ASIO Driver」だけの設定と「JPLAY」で「KS:OPPO~」を選んだ場合で比較してますがJPLAYの方が僅かにスッキリしてて、OPPOオンリーの方が僅かにふくよかな感じかな?何となくOPPOオンリーの方が我が家では万能なイメージがします。もう少し時間を掛けた比較が必要かもしれませんね。