Oculus Quest PSVR

VRは「仮想世界」に連れて行ってはくれなかった

私はVRが大好きで色んなVR体験をしてきましたが、思い描いていた「仮想世界に入り込む」という夢はどうやら実現しそうにないな・・・と最近感じています。

映画「アバター」や「サマーウォーズ」「レディプレイヤー1」「ソードアートオンライン」など仮想世界に行ってしまう物語は沢山ありますが、実際のVRであんな感じの体験は出来ません。あくまで自分はここにいて、ゴーグルの中の世界を覗き見ているだけ、という感覚です。

あっちの世界の住人になった気分を「VR」に期待していましたが、どうやらそれは無理っぽいですね。

6DoF体験に興奮した

位置トラッキングのない、いわゆるスマホVRは単に360度スクリーンというだけで何の感動もありませんでしたが、自分が動けば仮想世界も動く、自分がしゃがめばその世界でもしゃがめるという6DoFのVR世界を体験した時に「これは凄い!」と感動したものです。

この3DoFと6DoFとは体験が全く別物です。

3DoFは顔をぐるぐる動かすとそっちの方に視界が向くという事で、いわば360度スクリーンのフルフェイスヘルメットをかぶっているような感覚になるだけです。立体でも何でもありません。なので自分が動くと世界そのものが動きます。遠くにある月を追いかけるように、自分が動いても月も一緒に動くイメージ。

一方6DoF体験は全く違います。仮想世界は固定されていて、その中を自分が動き回る事が出来る感覚です。目の前に物体があれば顔を近づければ物体が近くに見え、しゃがむ、ジャンプする、のぞき込む、全ての動作が実際にその世界にいるように体験できます。

この6DoFの世界での体験は本当に興奮しました。

PSVRとの出会い

初めて興奮したのはPSVRで体験した「サメとの遭遇」です。いまだにこのコンテンツは「VRとは何か?」を体験してもらうのに最適なコンテンツだと思っています。

お台場の日本未来科学館やっていた先行体験に参加しました。まだPSVRが発売される前です。

こんな感じで順番に並んで用意されているコンテンツのうち一つを体験できます。

私は、その後「VR WORLDS」のコンテンツの一つとしてリリースされた「オーシャンディセント」の「サメとの遭遇」を体験。この体験会では「The Deep」という名称でしたが、まんま「サメとの遭遇」でした。

まさに自分が海底に沈んでいき、目の前に巨大なサメが現れるという恐怖を味わえる体験。一瞬今自分は海底にいる様な妙な浮遊感を感じることが出来ました。

その後、PSVRを購入して「ASTRO BOT」「バットマン」「アンティルドーン」「farpoint」「DriveClub」なんかには唸らされましたね。

仮想世界の体験に必要なのは?

身体の動き?

ただPSVRは「仮想世界」というよりは、あくまで「立体グラフィック」という感覚に近かったんですよね。そこで、色んなVR体験の中の一つとして盛大に身体を動かせる体験もしました。

ジョイポリスでやっているアトラクション型VR「ZERO LATENCY VR」です。

これは一定の広さのスペースを自由に歩き回る事が出来るもので6人のプレイヤーたちもアバターとしてこの中で共闘したりできるもの。

これは私のイメージする「仮想世界」に一番近いものでした。グラフィックは非常にしょぼいものでしたが、それでも立体的な空間にいる感覚が凄くて、みんな同じ平面にいるはずなのに2階と1階に分かれているように見えたり、ものすごく制御された仕組みだと感動しました。

その後もいろんな施設でVRを遊んでみましたが、正直ジョイポリスの「ZERO LATENCY VR」の足元にも及びませんでした。

現実レベルのグラフィック?

自由に歩き回れるVR体験で「仮想世界」感を少し感じる事が出来ましたが、どうにも安いドットCGの中を歩き回っている感はぬぐえません。やっぱりそこが現実と見紛うレベルのグラフィックであって欲しいと思いました。

そして、いよいよそのクオリティに来たか!と興奮したのがSteamでリリースされていた「VR JAPAN」です。

このめっちゃくちゃリアルな地下鉄構内を歩き回れる体験に、いよいよVR始まったな!と感じました。

【レビュー】凄まじいリアリティ!VR JAPANの世界を散歩してみた

2021年1月10日にリリースされたVRコンテンツ「VR JAPAN」が凄そうだったので体験してみました。 購入はSteamから まずはSteamで購入します。価格は990円。ゲームではなく日本の風景 ...

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でも、VR JAPANはもちろん自由に歩き回れる訳ではなくてカーソルワープなど疑似的な移動手段しか用意されていませんでした。これでは「自分が仮想世界にいる」ではなく「精巧にできた仮想世界を覗き見る」に過ぎない訳です。

いっそのことミニチュア世界を覗き込む方がリアリティを感じる

VRの世界には「自分が等身大のアバターとして仮想世界で動き回る」タイプのコンテンツもあれば「ミニチュアなキャラクター達を俯瞰して操作する」タイプのゲームもあります。

MOSSなんかは後者の代表的なゲームだと思います。自分が仮想世界に行くのではなく、目の前にまさにミニチュアの世界が広がっていて、そこに小さな生き物が動き回る感じが楽しいんですが、これは自分が全く動かずに箱庭を覗いている感覚なので「現実にそういう世界があってもおかしくない」という錯覚も味わえます。

つまり、世界のどこを切り取るか?が仮想世界観を感じる為に重要なんですよね。

私が「サメとの遭遇」や「アンティルドーン」でリアリティを感じるのは「自分自身が動かない(動けない)」シチュエーションを題材にしているからです。BeatSaberなんかは現実世界感はありませんが、そこに自分が立っているという疑似体験は上手く出来ていると思います。

そういう意味では車の運転席に座っているDrive Clubなんかも面白いVR体験だと思いますね。例えば「まっすぐ運転しながら、右を見ると並走しているライバル車が見える」といった頭を動かしながら情報を得ていくスタイルに従来のドライブゲームとは全く異なるリアリティを感じました。

延長線上にテーマパークのライドアクションのような「アンティルドーン」もお勧めです。乗っているトロッコが強制的に動いていくので恐怖感を掻き立てられます。

このようなタイプのゲームは自分がほとんど動かずに、頭だけを動かすシチュエーションなので妙なリアリティを感じます。6DoFが活かされて顔を近づけたり、きょろきょろ見まわしたり、首をすくめたりして仮想世界と干渉しあえるのがホンモノっぽいんですね。

一方で、バイオハザード7やVR JAPANのような動き回るタイプのコンテンツは「実際に自分は動いていないのに、視界の中だけが変化していく」ので、確かにVRコンテンツとしての面白みはあるんですが「自分がその世界にいる」ようには感じない訳です。となると、ジョイポリスの体験型のように実際に歩き回れることでリアリティを感じるようにするしかない訳ですね。

ZERO LATENCYタイプであれば、無限に広がる閉じたられた空間を上手く作り出せます。巨大な宇宙船の中、異常に広いお化け屋敷、など実際のアトラクション空間の何倍も大きい仮想世界にいる感覚も作れるでしょう(一方向に走り続ける事は無理ですが、上手く建物構造をデザインして曲がり路を多く作れば脳は広いと錯覚出来ます)

それでも実際に階段を昇り続けるとか、坂道を下っていく、というような立体演出は難しいと思います。

そういう意味で、VRコンテンツは「仮想世界に行く」事を目指すのではなく「あたかも目の前に実際にあるように感じる」という疑似体験までが限度なんだろうと思います。だとすると「MOSS」のように箱庭世界を俯瞰するのが最も違和感が少ないのかもしれません。

結局「仮想世界」には行けない

PSVR2や更にはその先の次世代デバイスでグラフィックレベルがどんどん上がり、視野角も広がり、HDR技術などで輝度のリアリティも増して、まさに目の前に世界が広がっているように感じるようになるでしょう。

例えば、PSVR2で搭載されるヘッドセットフィードバックがあれば、ジャングルの中でツタをかきわけて進むときにヘッドセットがツタの当たる感触で震えたりも出来る訳です。そして、コントローラーもハプティックフィードバックやアダプティブトリガーで実際に目の前の物体を掴んだり、押したりする感覚も再現できるでしょう。

でもやっぱり「仮想世界」に行くことは出来ません。私は現実世界と仮想世界の区別がつかなくなる?!みたいな世界を憧れているんですが、VRで遊んでいても仮想世界と現実世界を間違えてしまう事なんて1ミリもない訳です。

もちろん動き回るというだけであればこういうデバイスもあるんですが、これで実現できるのはZERO LATENCYの更に疑似版ですよね。

映画やアニメに出てくる「仮想世界」とは何が違うんでしょうか。

正直、映画の世界で描かれる「仮想世界」は完全に脳をハッキングしているレベルです。その世界で目覚め、何かを食べ、陽の温かさを感じ、水をじゃぶじゃぶ触り、階段を上り下りし、人と触れ合い、そして寝る、という脳の体感反応全てを騙して初めて「現実と区別がつかない」という事が発生するでしょう。

VRは何一つそうした現実体験に近づいていません。単に「立体に見える」というだけです。それじゃ赤青3Dメガネが綺麗になっただけです。所詮「とびだせ大作戦」です。仮にメタバースに沢山の人々が集まり、仮想コミュニティが作られたとしてもやっぱりそれは映画で描かれる「仮想世界」とは全くの別物です。

とするなら「ビルの3階のカフェから地上を見下ろす時に眼前に広がる現実感」というように俯瞰で見る世界を再現するというのがVRで現実と錯覚させられるリアリティの限界なのかもしれません。

それでもVRは面白い

私はそれでもVRはとても面白いと感じています。単に立体に見える、だけではなく6DoFだから体験できる独自のエンターテイメントがそこにはあります。それは確実に2D世界のゲームやコンテンツより拡張された面白さです。

なので「仮想世界に行く」という夢物語は諦めて、VRならではの楽しみ方がどんどん広がってくれればと期待します。

先ほどVR体験の例をいくつか紹介しましたが私の中では下記のようにVRコンテンツを分類しています。

代表例アバターの動きプレイヤーの動き歩き操作
ミニチュア俯瞰型MOSS動かない極小(顔だけ)コントローラー
テーマパークライド型BeatSaver/DriveClubほぼ動かない小(上半身だけ)動かない
fps操作型バイオ7動く中(数m範囲内)コントローラー
お化け屋敷型ZERO LATENCY動く大(数十m範囲)自分自身

どのVRコンテンツも楽しいですし、方式よりも中身の作りこみが大事です。でも、とかくVRは「仮想現実感」を出そうとして現実の自分が動いているように演出したいと思いがちです。その結果fpsっぽいゲームこそがVRとイメージされてしまいますが、実際にはミニチュア俯瞰やライド型のようなコンテンツに逆に「仮想現実感」を感じさせられることも多いので、fpsっぽいものばかりに偏ることなくミニチュア俯瞰型がもっともっと増えてもいいんじゃないかな?と思います。

PSVRの「ASTRO BOT RESCUE MISSION」なんかはVRである事が最高に活かされた俯瞰型の神ゲーだと思います。マリオタイプゲームの未来を感じました。こんな楽しい体験が普及しないのは本当に勿体ないと思いますので、是非多くの方に体験して欲しいと思います。

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