ポータブルオーディオ

HiFiMAN HM-901 購入 ~音質・運用編~

HiFiMANのHM-901を購入しまして、前回は開封~起動~操作までを確認しました。
次はHM-901を実際に聴いてみたレビューです。

イヤホンはUE18Pro。もちろん直挿しです。

●音の特徴
何となくわかる方にはもう想像付くでしょうが、この組み合わせ、とにかく濃いです(笑)

まず、HM-901は非常に解像度が高いです。

分離感や音の輪郭が強いというよりは、空間表現によってそれぞれの音がきちんと際立っているという自然な解像感です。

距離感、広がり、奥行きなどが素晴らしく、それゆえに結果として各音が際立つのです。デジタルな輪郭強調ではないので、目の前で本当に演奏されているような音に聞こえるんですよね。

そして音の響き、深み。これはHM-901の特徴だと思います。どちらかというと据え置きの雰囲気を持っています。特に中~低域の楽器、ドラム、ベース、コントラバス、ティンパニなどの生々しさは尋常じゃありません。ピアノやボーカルの艶っぽさも凄い。高域も線が細くなるのではなく、しっかり音に厚みがあります。

この響き、深みがAK120には欠けていると感じたところです。AK120は「録音した音をキレイに鳴らしてくれる」感じがしますが、HM-901は「音を鳴らす」のではなく「音楽を聴かせてくれる」という印象です。ですから、AK120の方が原音には忠実なのかもしれませんね。

HM-901は高域の音の強調が少ないので、耳に刺さる事もなく非常にウォームな音楽を聴かせてくれます。ウォームなのに籠らない。どの帯域の音もクッキリ自然に鳴らします。

ただ、じゃじゃ馬なのはUE18Proです。これだけの響きと深みを生み出しているのはHM-901単独の力ではなく「UE18Proあればこそ」なんですが、逆にこのキャラクターが強すぎて裏目に出る曲も結構あります。

元々中低域が強い曲や、中域のざわつきが多い曲なんかは、もう盛りすぎ。という感じで、ボーカルは張り出しすぎ、低域はボンつき、全体的にバリバリうるさい。なんて事にも。もっさり重たくなってしまう曲も出てきます。

●Fitearで試し聴き
そこで試しにお店で、Fitearの335DW、334、パルテールでHM-901を聴いてみました。
335DWは今私の中で一番欲しいイヤホンですが、HM-901の中低域があれば334の方が合うのでは?と感じた聴き比べです。

結論から言うと、この3つだとやっぱりダントツで335DWが良かったです。
多分これはもう自分の好みだと思います。

決してドンシャリが好きなわけでも、低音厨なわけでもないつもりなのですが、音に厚みがないと耐えられないんですよね。中低域は深みと響き(決して量じゃないです)、そしてきっちり音に厚みのある高域が欲しくなります。

334はどうしても線が細く、パルテールは低域は強くなりますがやっぱり音の厚みが足りません。335DWは厚みを損なうことなく、UE18Proよりクリアで精細な音を鳴らしていました。

多くの曲では335DW&HM-901では美しく、厚みも響きもある状態で鳴らしてくれますが、今度はUE18Proとは逆で、一部の曲で物足りなさが出てきます。

335DWも非常に良く鳴ってるんですが、HM-901&UE18Proで聴いたときに響きと深みが別格すぎる曲に出くわすのです。大型スピーカーで聴いた時に近い響きです。これは335DWでは出ませんでした。

・HM-901&335DW
ハイレベルで完成度の高い音で、ポータブルの理想の延長線上の音を出す。

・HM-901&UE18Pro
ポータブルの良さと据え置きの良さの両方を取り込んだ、
とてもポータブルとは思えない響きと深みを生む。

という印象です。335DWの音は「そうそう!これを求めていた!」という音で、UE18Proは「こんな音ポータブルで出せるの?!」という音。より驚きと感動があったのはUE18Proだけど、一方でガッカリな曲も多い(笑)

ずっと335DWは全ての面でUE18Proを上回る。と憧れていましたが、HM-901と組み合わせると一長一短ある事に気づいてしまった次第。色んな曲を聴くには335DWの方が汎用性高くていいなぁ。って思いますし、UE18Proは「もうこれでないと味わえないだろう」という程気持ち良い曲があって手放せません。

じゃ、実はUERMやJH16Proなんかだと、またバランス良いのかも?なんて想像してみましたので、また今度聴いてみたいと思います。

●音量調整の問題
これは過去2回の祭の試聴時にも書いたことですが、とにかくHM-901は音量のステップ幅が大きい。全部で何段階かという問題ではなくて、一つ音量を動かすと変化するボリュームが大きすぎるんです。せめてもうこの2分の1ずつ刻んでくれれば・・・と思いますが、これは本体の問題なので改善されることはないでしょう。この部分も購入にあたって躊躇していた理由でした。

結果として、ベストより1つ小さな音で聴くのは楽しくないので、1つ大きな音で聴いています。もちろん曲によって録音レベルが違うのでベストな曲もありますが、合わない曲だと疲れますし、耳にも悪そうですねぇ・・・。

ただ方式としては確かに性能の高い(劣化の少ない)音量方式な気がします。

●曲の冒頭が切れる問題
どうやら曲を再生すると頭の1秒くらいが切れます。そしてフェードインで曲が始まります。これは重大な問題ですね。

既にネットで言われている問題でしたので私としては理解して購入したのですが、やっぱり気持ちが悪いです。頭1秒ほど無音のデータだと気づくことはありませんが、いきなり音楽が始まっているデータの場合は完全にフェードインで始まります。これはファームで直る問題だと思いますので、是非早々に対応して頂きたいものです。コンマの世界で頭を切ることでノイズ対策をするというなら理解できますが、完全に曲が始まっているのは失笑ものです。

とはいえ個人的にはそれが理由で他機種を選ぶという程の問題ではありません。どちらかというとR10にあった爆音ポップノイズの方がよほど使用を躊躇う問題点です。もちろん擁護するつもりはありませんので可能な限り早急な対応を望みます。

●発熱と動作不具合について
これも世間で言われていたことですが、確かに発熱は気になります。
エアコンの効いた部屋で使っていても温かくなりますし、昨日はこの猛暑の中カバンに入れて持ち出して数時間聴いてみたところ、さすがに思わず「あつっ」って言いたくなるくらい熱くなりました。

それでも熱でフリーズはしませんでしたし、ちょっと電源を切って休ませればすぐに冷えるのでカバンに入れておく分には夏でも使用可能ですね。この猛暑の中あんまり野外でずっと使用しない方が良いとは思いますが(笑)

ちなみに利用して3日目ですが、初日に1回強制シャットダウンしました。また1度再生が止められなくなりました。このあたり、言われているどおりの品質課題はありますね。

ただ、めちゃくちゃ早送りや曲送り、別の曲を聴きながらホームに戻って乱雑にフォルダを移動しながら検索したり、というのをやりすぎると追いついてこなくなる感じなので、普段普通に聴いている分には問題なさそうです。個人的な感覚ではAndroidスマホで色々負荷を掛けすぎた時に挙動がおかしくなるのと似たイメージなので、実用上そんなに不安はありません。もちろん、いつどんな時も正常に動いて欲しいですけどね。

ちなみに充電時のACアダプタの発熱はもっとビックリします。あまりに熱いので焦りました。ただトップウィングさんの日本語取説を見ても、確かに最初の4時間は熱いと書いてあったので扱いに気を付けようと思います。特に充電は専用端子なのでこのケーブルを無くしたり壊したりしたら充電が出来なくなってしまいます。。

●操作性とインターフェイスについて
前回の記事で「ホイールの操作性は悪くない」と書きました。
実際、春の祭りで試聴したときのようなホイールの引っ掛かりはなく、指の腹だけでクルクル回ります。(前回のYoutube動画を見て頂くとイメージ出来ると思います)

といっても、撫でる程度じゃやっぱり動かないので、微妙に力を入れる必要があります。この点はもっと軽く回った方が嬉しいところ。でも及第点。ですね。

あとは継続して利用する事で、このホイールのまわりが悪くなっていくのかどうか?ですが、この点は個体差もあるでしょうし、様子を見ていきたいと思います。

更に、画面上での曲選びですが、この仕組みはオーソドックスで良いと思います。
iPodのように階層ごとに選択するとページがスライドして下の階層が出てくる方式。日本語表示も一部文字化けはあるものの概ね実用上問題はありませんし、長い曲名も選択されているときはスクロールして全文が表示されるベーシックなスタイル。

奇をてらわず、一般的になじみのある操作にした事は評価できます。ホイールで操作しているとまさにiPodClassicを操作しているのと近い感覚になります。

ちょっと曲を選択してから再生されるまでの時間が掛かるのは気になります。選んでも2~3秒は前の曲がまだ流れています。イライラする程ではないですけどね。

その他機能はほとんどありませんが、曲を選ぶときに「決定」を長押しすると「お気に入り」に登録され、トップページのお気に入りから聴けるようになるのもシンプルで使いやすい作りです。

もうT51やCK4と比べると神の領域です(笑)AK100/120もよく試聴で触りますが、特段あっちの方が優れているとは感じません。一長一短あるので好みの差かなぁ。というレベル。画面自体はあっち方がキレイですけどね。

結論として、既知の情報どおりの不具合や問題点がちらほら見えます。ただ、購入前に不安視していた程ではなく予想以上に快適に使えていますし、操作性も悪くありません、そして何よりそんな問題点を上回る高音質を実現しています。まだ数日試しただけの初期インプレッションではありますが、これはメイン利用に相応しいDAPだと思います。徐々にで良いのでファームで対応できる問題は解決していって欲しいですね。

オススメ記事

1

ロボット掃除機の進化が目覚ましく注目を浴びていますが、実は自分で操作するスティックリーナータイプもグングン進化を遂げています。今回はその中でも最先端となる4way水拭き掃除機「H12 Dual」をレビ ...

2

Galaxy Z Fold3からGalaxy Z Fold5へ移行して確認したいのはやっぱりカメラ性能です。特に写真の画質がどのくらい変わったのか?は検証しないわけにはいきません。 スペック上の進化 ...

3

パナソニック史上「最強のUHD プレイヤー」であり且つ「最強のBlu-rayレコーダー」と呼ばれる「DMR-ZR1」を購入しました。 私が購入に至った理由は公式サイトや様々なWebサイトで語られている ...

4

ついに買ってしまいました。ずっと欲しい欲しいと思っていて二の足を踏んでいた「Philips Hue Play HDMI Sync Box」とその仲間たち。しっかりレビューしていきたいと思います。 Ph ...

-ポータブルオーディオ