スピーカーをVELA FS407に変更して改めて中域~低域に課題が出てきました。対策を含めてオーディオボードにも設置したものの根本的な解決には至らず、これを機会にプリメインアンプのL-550AX2に着目する事にしました。
現在のL-550AX2の接続と課題について
まず現在AVアンプ Marantz SR8015→プリメインアンプ LUXMAN L-550AX2→スピーカー ELAC VELA FS407に接続しているのですが、この際、メインイン(550AX2のプリ部はパススルーする)方式ではなくラインイン(敢えて550AX2のプリ部も利用して2重プリとする)方式で運用しています。
これは昔からの私の方針で、AVアンプからプリメインアンプに接続する場合、通過する回路を増やすことで歪みが増えたとしても、2重でプリ部を通しそれぞれのプリの特性を掛け合わせオリジナルブレンドでの音を楽しむタイプです。雑味をなくしてストレートに行くならパススルーですが、それではプリメインアンプを使う醍醐味がありません。
ただ、現在の環境の場合、2重プリだとこのような課題を生んでいます。
SR8015→L-550AX2「2重プリ」時の課題
・低域が沈み切らない
・中低域が団子になる
・中域がマスクされる
そこで、一度パススルー接続に変えてL-550AX2のプリの個性は殺し、SR8015プリから550AX2パワーへ直結させる方式に変えてみました。
SR8015→L-550AX2「パススルー」時の変化
・低域は同じく沈まず、その上、量感も乏しくなる
・低域の量が減ったので中低域の見通しは良くなる
・中域もマスクされなくなったが、同時に厚みがなくなり繊細な音になった
パススルーでは課題は解決するものの別の課題が出てくるという状況になりました。要するにL-550AX2が作り出していたラックス特有の艶、厚みのある緩さのようなものがなくなって線が細くなってしまったのです。
どちらが良いか?は好みですが、どちらかというと私は2重プリでの厚みが好み。でも息子は低域が飽和しないパススルーが好みだそうです。いずれにせよ弱点の解消を模索したいところです。
課題の原因
・2重プリ時:低域が沈まず、中低域あたりで団子になる
・パススルー時:低域の量感が出ず、中域の厚みもない
このどちらも課題は「アンプの駆動力不足」の典型です。
Beethovenでも低域の沈みが足りずに団子になる問題はあり、L-550AX2を導入してある程度解消したのですが、VELA FS407ではまた顕著になりました。感覚的にはウーファーの数も多いBeethovenの方が駆動力不足になるのでは?と感じますが逆にそのウーファーの数や大きさに助けられてそれなりの量感に繋がっていたのだと思います。逆にVELA FS407ではウーファーがコンパクトになって数も減り、ちゃんとアンプのパワーを注入しないと鳴らなくなった。というケースだろうと想像します。
ちなみに、一切L-550AX2を通さず、SR8015からVELA FS407に直結するととてもスッキリした音になります。帯域バランスも悪くない。ただ力感はなく、厚みも低域も全体的に物足りない感じです。もちろんSR8015自体一体型のAVアンプとしては結構優秀なモデルですから、VELA FS407サイズであれば破綻なく鳴らせるのだと思います。ただもう少し厚みや沈み込み、躍動感、生々しさが欲しいと思ってしまいますね。
一方、L-550AX2は4Ω出力40WというA級アンプです。A級としての温かさ、厚み、艶が魅力ですが、押し出しが弱いのは宿命です。SR8015の素性は悪くないので、その先にもっと強力なアンプを用意するのが一番だと考えました。そもそも低域に問題を抱えていたのに純A級を導入したのが最適ではなかったのですが、どうしても艶や響きを重視したかったという経緯もあります。
検討の方向性
今回候補を挙げるのに大きくいくつかの種別に分けました。
1.パワーアンプかプリメインアンプか
基本的に我が家ではピュアオーディオは卒業しました。一応ネットワークプレイヤーは残していますが、メインは映画、ゲーム、動画コンテンツでAVアンプ SR8015を通して音を出します。ですからSR8015をプリとして使いパワーアンプに直結させれば、プリとパワーのセパレート構成になるので最も合理的です。
但し、音の方向決めとして重要なプリ部分をSR8015の素直さだけに任せるのは少々面白さに欠ける気もしますので、敢えてプリメインアンプを選び、これまでのように2重プリで音の掛け算をするという案もあります。あるいは個性のしっかりあるパワーアンプで色を付けていくか。
2.新品か中古か
ガチのハイエンドオーディオを目指すつもりではないので、できればリーズナブルに行きたい。今回の予算感は40万円未満としたいと思いました。これはL-550AX2を売却して追い金を20万円以内に収めたいという思いからです。また重量も40kg未満。これ以上は今の私には重すぎます。
この40×40を満たしつつ最も理想に合致するアンプを探します。となるとミドルレンジの新品か往年の銘機の中古を探すか。が現実的になるでしょう。VELA FS407自体がミドルハイといった位置づけですのでちょうど良いと思います。
作り出したい音は?
まずは「駆動力」です。低域が沈み、厚みを維持しつつ、団子が解消される事。そしてそれに加えて、しっかり自分が期待する音の傾向が強化される事が大事です。
私が期待する音は以下のような音です。
欲しい音の基準8項目
- 厚み → 特に中域の厚み。音痩せしない。声なんかも薄っぺらくならないようにしたいですね。
- 沈み込み → 低域が深く沈むか。ここは駆動力が試されるところ。
- 制動 → 低域のアタック感、輪郭、キレ。ただ響きのないデッドな音は苦手なのでタイトすぎない音。ダンピングファクターも一つの指標。
- 分離 → ごちゃごちゃしない。多人数アンサンブルの解像感。混ざり合って団子になるのは避けたい。
- 艶 → 色気のある艶、光沢感のある艶、ここはアンプの個性によって違いが出るところ
- 透明感 → 濁りのない、空気の澄み具合、見通しの良さ。
- 生々しさ → 実在感、楽器の震えや微細な音の拾い上げ。声や楽器の音のリアリティ。
- 空間表現 → 奥行、広がり、立体感など空間のスケールと音源配置表現
基本的にはシャープでキレキレの音よりは、まろやかで艶やかな音が好みです。ただそれが籠りになってはいけないので、強調された輪郭ではないものの、きちんと音と音の間に空気があって立体感と奥行きを感じさせることで見通しが良い。そんな方向。
解像感もそれなりに高い方が良いですが、バチバチにモニター音質になるよりはライブ感のある音の方が好み。キッチリクッキリ分離されてしまうとバラバラに録音した楽器をミキシングでただ合わせたみたいな空気感のない音になってしまうのでそういうのは苦手かな。と思います。とはいえゲームや映画なんかではスピード感も大事なので、色気や響きも持ち合わせながらバランスの良い音を目指したいと思います。
なかなか難しい条件ではありますが、こんな音を目指してモデルを探し始めました。幸いSR8015自体の個性が強くないので選びやすいと思います。
候補に挙げたモデル
候補に挙げたのは下記達です。
パワーアンプ
| メーカー | モデル | 相場感 | 重量 | ポジティブ | ネガティブ | 候補レベル |
| Accuphase | A-46 | 中古38万円 | 31.9kg | 透明感がありながら艶も共存 | 制動力が弱く低域がやや緩いか | ★ |
| Accuphase | A-47 | 中古45万円(やや予算Over) | 32.1kg | 透明感+制動力 | 艶はA-46より後退か | △ |
| LUXMAN | M600a | 中古28万円 | 26.5kg | LUX A級の艶 | 低域がやや緩いか | ◎ |
| LUXMAN | M700u | 中古40万円 | 27.5kg | LUXらしさも残しつつ制動力UP | やや淡白になるか | △ |
| LUXMAN | M900u | 中古65万円(予算Over) | 48kg(重量Over) | 非常に力強く洗練 | 高くて重い | |
| Mcintosh | MC152 | 中古40万円 | 34kg | 低域の沈みと艶が抜群 | 若干制動が弱く、低域が膨らむか | ★ |
| Mcintosh | MC252 | 中古38万円 | 43kg(重量Over) | 低域の量感と沈み込み。艶も残す。 | 低域が膨らむか | △ |
アキュフェーズでA級を候補にしたのは、AB級だと温かさが弱くなってしまうかな?と感じたからです。豊かさと厚みを持った美音という方向であればアキュフェーズではA級を選びたいと思いました。A-80まで行けば当然圧倒的な音の完成度に到達できると想像しましたがいかんせん、価格も重量も破格です。少し前のモデルですがA-46やA-47あたりの時代が艶や響きと制動力とのバランスが良いだろうと考えます。
そして艶や豊かさを優先するならパワーアンプもLUXMANがやはり候補に挙がります。特にM600Aは格下ですがA級アンプですのでコスパもよく注目したいモデルです。もちろんM700uは音の格が上がりますしAB級とはいえLUXMANの特徴は残したバランス機だと思います。そしてM900uは言わずもがな性能では断トツだと思いますがやはり価格と重量でちょっと行き過ぎ。
そして他にも色々パワーアンプをイメージしてみましたが、アキュフェーズ、LUXMANと並べて比較すべき特徴を持ったブランドという点ではMcintoshかなと思いました。艶というならマッキンはナンバー1だと思いますし深く沈み込む低域も一番期待できます。MC152なんかは発売当時は50万円でしたが現在は120万円に到達しているインフレモデルです。中古ならギリギリ予算感が合うかなと思います。マッキンは制動力が抜群という訳ではないので現代的なスピード感よりも音楽の豊かさ、情緒を大事にする設計だと思います。映画やゲームを楽しむ私として情緒も大事ですが、今回はスピード感も大事にしたい。
上記3ブランドではA-46、M600A、MC152が有力候補として残りました。
プリメインアンプ
| メーカー | モデル | 相場感 | 重量 | ポジティブ | ネガティブ | 候補レベル |
| LUXMAN | L-507Z | 中古50万円(やや予算Over) | 25.4kg | A級の艶とAB級の制動を持ち合わせたバランス機 | ほぼなし | ◎ |
| LUXMAN | L-509Z | 中古75万円(予算Over) | 30kg | 厚みと制動、そしてLUXらしい艶も残す | 高い | △ |
| Denon | SA1 | 中古20万円 | 30kg | 艶と厚みの頂点 | 低域が緩く膨らむ | ◎ |
| Denon | SX1 | 中古30万円 | 30.4kg | 透明感と空間表現 | 艶や厚みは弱い | △ |
| Denon | PMA-3000NE | 新品35万円前後 (2025年12月頃までは45万円) | 24.6kg | 艶、厚み、透明感、制動全てのバランス | ほぼなし | ★ |
| Marantz | PM10 | 中古30万円 | 21.5kg | タイトで力強い | 艶が乏しく淡白 | |
| YAMAHA | S-A3000 | 中古30万円 | 24.6kg | 綺麗な音色 | やや線が細い | |
| SPEC | RSA-BW1 | 新品60万円(予算Over) | 14.5kg | 自然な鳴り | 高い |
次にプリメインアンプです。アキュフェーズやMcintoshを選ぶならパワーアンプがいいかな?と思いましたが、LUXMANであればプリメインも選択肢に入れたいと思いました。特にA級とAB級のいいとこどりであるL-507Z。少し予算オーバーですがとてもバランスの良い良機だと思います。そしてL-509Zは現在のLUX最強プリメインですが厚みや制動も含めて考えればこっちが格上ですよね。
そしてそれ以外の候補として有力視したのはDENONです。これまでDENONのプリメインは避けてきましたが過去にAVアンプは使ったことがあります。昔のDENONは低域の量感、厚み、ピラミッドバランスの拘りという印象で、ともすればやや籠った音というネガティブなイメージもありました。しかしながら昨今のSX1や3000NEなんかは逆に現代機らしいスピード感や透明感を打ち出してきているという事で俄然興味が沸きました。そういった意味でDENONは一つのブランドの中で様々な傾向の音作りをしてきている面白い系譜を持ったメーカーです。
今回候補に挙げたSA1は古いモデルですがDENON伝統の艶と厚みの塊。SX1は一転して透明感に逆振り。そして3000NEは最新モデルらしくその両面を取り込んだバランス機。それぞれ違う方向ですがどれも興味があります。
次にMarantzです。今使っているAVアンプのSR8015がMarantzですし以前ネットワークプレイヤーも使った事があります。Marantzのイメージはどちらかというと繊細、美音、透明感のある音作りで、超解像とか低域ドスンというイメージではなく上品な音作りをしている印象です。ただ厚みが無いわけではなくバランスの良い音作りのイメージ。中でもPM10はハイパワーD級アンプで異質ながら圧倒的なパワーでタイトな音を作り出すという事で気になりました。ただちょっと細くなりすぎるという評価もあった為、最終候補には残しませんでした。
YAMAHAのS-A3000も美音系のイメージです。PM10ほどではないにせよLUXやDENONのような艶や厚みと比べれば少しあっさりしているのでは?という想像をしています。
最後にSPECのRSA-BW1。これはプリ部の個性を最小限にして純粋なパワー出力で生々しく自然な音作りをするとの事ですごく興味があったんですよね。ほかにもPRIMAREやSoulnoteなど色々候補に考えてみましたがこの辺りは私の条件としてはややスッキリしすぎるかなと思いました。
簡易試聴で現行プリメインアンプの傾向を掴む
いつものアキヨドで比較試聴してみました。幸いなことにアキヨドにはELAC VELA FS407.2があります。我が家のVELA FS407に見立てるのに丁度良い。

VELA FS407.2を試聴用スピーカーとしてCDプレイヤーも固定することで純粋なアンプの比較が出来ます。

とはいえ、試聴用音源を持ち込んでいたわけではなく店頭にあったCDのトリオジャズや洋ポップで試しましたのでそこまできちんとした比較はしきれませんでした。
LUXMAN

試聴出来た505Z、507Z、L-100は3台とも個性が違って面白かったです。505Zは一聴して楽しい。メリハリもある音でしたが高級感のある音ではなかったです。でも十分比較して選ぶ価値のある一台だと思いましたし、この値段ならこれを選ぼうとなるのは全然アリだと思いました。ただ音のバランスで言えばやっぱり507Zが上。情報量、厚み、豊かさ、実在感、どこを切っても悪い点がない。そんなアンプだと思いました。
YAMAHA

YAMAHAの印象はとてもよかったです。候補にしていたのは先代A-S3000の中古ですが、現行のA-S3200は先ほどの507Z同様どの切り口でも不満を感じない印象。いいアンプだと思いました。ただ映画や低域が重要な楽曲などではやや綺麗すぎるかもしれないなと。新品のA-S3200はコストが見合わない、中古のA-S3000がこの音を上回るとは思えないというところで最終候補からは外しました。
SPEC

RSA-BW1の印象は良かったです。今回の試聴TOP3に入ります。粒立ちの良さという点ではナンバー1でしたし一番好きな音でした。一つ一つの音はしっかりしていましたが若干平面的に感じたかな?でもいい音でしたね~。お奨めだと思いました。
DENON

DENONは数字シリーズが並んでいました。どれも傾向としてはとても近くてトリオジャズ程度の音数の少なさであればほとんど違いは感じないレベルでした。ただ、楽器と楽器の間にある空気感、あ、そこに演奏者が実在しているという微細な音の密度は1700→2500→3000と数字が上がっていく毎に高まっていく印象でした。比較するとやっぱり3000NEが一番微細な情報が多い。そんな評価です。
この試聴の中ではL-507Z、RSA-BW1、PMA-3000NEの3台がTOP3。上質な507Z、粒立ちのBW1、バランスと密度の3000NEという感じです。3000NEはダンピングファクターも700あるので制動力の高さも期待できます。この3台なら3000NEが圧倒的なコスパ。新品で買うなら3000NE一択だと思いました。
| メーカー | モデル | 印象 | 候補 |
| LUXMAN | L-505Z | 元気が良く聴いていて楽しい。ただ音数は少ない。 | |
| LUXMAN | L-507Z | バランスが良い。低域が少しだけ大人しい。上質。 | ★ |
| LUXMAN | L-100 CENTENNIAL | A級らしくやや柔らかくなる | |
| YAMAHA | A-S3200 | 厚みは薄めだがバランスは良い。低域も不満までは行かず、音が綺麗 | ○ |
| テクニクス | G700M2 | 情報量が多くかっちりしている。やや厚みが少なめか。 | |
| TEAC | 701ペア | 相対的にやや薄さを感じた | |
| DENON | PMA-3000NE (PMA-1700NE/PMA-2500NE) | バランス良く、厚み、元気さもあって密度が高い。情報量や瑞々しさも過度にならず空間は広い。 | ★(3000NE) |
| Marantz | Model30 | やはりDenonやLUXと比べるとやや大人しい印象に感じた | |
| SPEC | RSA-BW1 | 粒立ちがしっかりしていて見通しが良く好きな音。若干奥行や立体感が足りないか。 | ★ |
| Mcintosh | MA5300 | バランス良く不満なし。ややスッキリしている印象でマッキンらしさという個性を感じる事がなかった。 | ○ |
PMA-3000NE に決定
パワーアンプは試聴できませんでしたが、AIとの壁打ちをしまくってネットの評価も含めて検討。アキュフェーズ、LUXMAN、Mcintoshはどれも個性的で魅力ある音が期待できますが、今回の私の条件である映画やゲームを見通し良く、スピード感のある低域、団子にならず情報量高く鳴らしてくれる。という要素。そして艶や光沢感、立体感、など総合バランスで見た時に「総合力が最も高くなるアンプ」という観点ではPMA-3000NEが最強かな。と感じました。
試聴するまではMcintoshのMC152にかなり惹かれていました。私自身LUXMANのC-8f、C-800f、L-550AX2を所有していた事もありLUXMANの傾向は理解しています。マッキンは更にそこに艶、響き、沈み込みが強まるイメージですので気持ちよく音を聴くという点では最高なんじゃないかと。またLUXMANが好みに合っていたので何となくアキュフェーズは敬遠していましたが少し前の時代のA級は鮮度の高さをややまろやかに、厚くしてくれる印象があり条件にピッタリなんじゃないかと想像しました。このMC152、A-46は最後まで迷いました。
でも現代プリメインアンプを試聴してみて「あれ、やっぱり音がきちんとほぐれていて、無駄に低音を膨らませない音が好きかも」と感じたんですよね。DENONは「低域の太さ」のイメージが強かったんですがPMA-3000NEはしっかり力強さを持ちつつ、立体感とスピード感を持つバランスを兼ね備えたアンプだと好感触。
その観点ではL-507Z、RSA-BW1もいいな~と思いましたし、この時点でパワーアンプじゃなくてやっぱり現代プリメインを選ぼうと決めていました。中でも最も力強さを感じたのがPMA-3000NEだったという訳です。
このバランス感覚は同じDENONのSA1、SX1、SX1 Limitedと比較しても死角のなさ、総合力で上回るんじゃないかと思うんですよね。またPMA-3000NEは標準価格52.8万円で2025年末近くまで実売45万円程度でしたが一気に30万円台で入手可能になりましたのでコスパの面でも魅力的なモデルになりました。
導入・設置
そして早速PMA-3000NEが到着。新品は開封する時も気持ちがいいですね。


どっしりした佇まい。SA1やSXシリーズと比べれば若干高級感は譲るかな?と思いますが、DENON伝統のデザインを踏襲して現代風に仕上げた感じがします。

背面端子は意外とシンプル。左にライン入力、中央にスピーカー端子(バイワイヤリング対応)下部にデジタルインターフェイスです。XLR端子がないのでバランス入力必須の人には選ばれない一台となります。このミドルクラスの価格レンジでバランス入力がないというのはなかなか受け入れがたい方もいるのではないかと思います。逆にアンバランスだけで十分という私のようなタイプには最適。

この辺りのプリ部、デジタル部、パワー部などの配置やパーツはかなり拘られており、内部も極力配線を無くして直接接続する事で徹底して雑味を排除しているそうです。
ラックにセットしSR8015と接続しました。

PMA-3000NE 音出し
色々インジケーターがありますが「ANALOG MODE」はデジタル信号を分断することでノイズを低減。モードが2つありモード2だと液晶表示も消える徹底ぶり。音質にこだわるならモード2がいいですね。下記写真はモード1の状態ですが普段使う時はモード2にしています。
また写真ではオフになっていますが「SOURCE DIRECT」もオンにする事で、トーンコントロールは効かなくなりますが音の純度が上がります。これもオンにしておきたいですね。

せっかくなのでバイワイヤリングで接続することにしました。スピーカーケーブルは家に転がっているリーズナブルなもので一旦接続。

音出ししてみたところ、さすがにSR8015単体やL-550AX2の時とは変わりました。
出音として明らかに良い方向へ改善。中でも制動の高さは狙い通り抜群。低域だけが緩く流れると締りが悪くなるのですが、例えば演奏の最後「ジャン!」と終わる時に高域も中域も低域も全く同じタイミングで一体化して鳴り、その後無音になる、この心地良さが半端ないですね。S/Nも高いので音の出ているところと静寂とのコントラストが抜群。それでいて楽器をまとう空気感、密度感が感じ取られて、広い空間表現と実在感、そして静寂。この辺りの完成度は凄いものがあります。
一方、新品を鳴らし始めたばかりの時点ではややほぐれていないところもありました。高域が伸び切らず、やや乾きを感じたり、低域の沈みもやや浅いという印象だったんですが、鳴らし始めて3日目くらいに2時間くらいピンクノイズを出しっぱなしにしてエージングを進めてみたところ俄然良くなってきました。
特に低域は量感を増やさず強さと深さが増し、とても心地良く弾むようになりました。パーカッションやベース、バスドラムの音などが「しっかり低い」。このおかげで映像作品のBGMですらメリハリが効いて楽しくなってきます。
サブウーファーなしで十分な低域が鳴っているので、慌ててAVアンプ側のサブウーファーの設定を見直し、LFE要素以外は全てVELA FS407にフルレンジで受け持たせるように変更しました。これでサブウーファーはメインの低域の補完の任を解かれ、LFE信号とサラウンド部分の厚みに特化させられます。
音の傾向
- 音の団子は解消、中域の押し出しや厚みもあり、帯域バランスが良くなった ⇒ 一つ目の課題の解消
- 低域は以前と比べて深くタイトになった ⇒ 二つ目の課題も解消
- 楽器と楽器の間の空間、ブレスなどの微細な音が実在感を伴って聴こえる ⇒ これまでにない生々しさ
- 高域、中域、低域のタイミングがばっちり合って締りが気持ちいい ⇒ 制動力の高さを実感
- 空間の広がりがあり、鮮度とスケール感が気持ちいい ⇒ コンセプトのVivid & Spaciousを体現しています
ちなみに「響け!ユーフォニアム」を少し観ていたのですが、何気ないシーンでの効果音がめちゃくちゃ細かく入っている事が分かるようになりました。服がこすれる音、楽器を構えた時の僅かな金属の音はもちろんの事、果てはシャープペンシルを持った時にキャップや芯部分が小さく「チャっ」と鳴るなど「こんな音まで効果音として入れ込んであるのか!」と改めて驚くシーンの連続で、アンプにも感心しましたが、何より京アニは凄いな・・・と感じた次第です。
ゲームのBGMなんかも低域が弾むので聴いていて楽しくなる。軽快さを持ちながらちゃんと力強い。そして空気に淀みがない。そんな感じがPMA-3000NEの良いところなんだろうと感じました。
鳴らし始めから3日目でぐっと音が変わってきましたが、この先数十時間でもっと低域が沈み、高域が伸び、芳醇になっていくんじゃないかと楽しみにしています。
まとめ
本機のサウンドマスター山内さんはSX1 Limitedでの拘りを次のステージに移行させ「Vivid & Spacious(鮮やかに広々と)」という設計理念を実現させています。
私のようにピュアオーディオとしての楽しみよりも「映画」「ゲーム」「動画コンテンツ」などを混在して楽しみたい人にとっては音質も妥協せず汎用性高くどんな音源やコンテンツにも対応できるPMA-3000NEはある意味ベストチョイスと呼べる一台だと思います。バランス入力非搭載で、DAC機能を積んだいかにも現代アンプらしい取捨だと思いますが、その音は歴代DENON系譜の集大成であり新ステージの始まりを予見させるものです。
例えばアキュフェーズやLUXMANはA級とAB級を使い分け、徐々に艶やかさと豊かさから現代的なハイスピード化という分かりやすい進化を辿っているのに対し、DENONはSA1、SX、SX1、A110、2500など色んな個性のモデルを不規則に発売しているように見えます。そして到達した3000NEのステージとは何なのか?今回3000NEを選ぶにあたってとても興味深い開発系譜だと感じましたので、次回はその辺りをちょっと掘り下げてみたいと思います。