テレビやUHD BDプレイヤーの画質調整で好みの画質を追い込むことは多いと思います。輝度、コントラスト、シャープさ、色合い、色温度など自分の好みにセッティングすればいいんですが、とある映画を観ながら調整したら今度は4K放送がおかしくなったり、テレビに合わせて補正したらストリーミングサービスで気持ち悪くなったり、結局「こんなもんだろ?」という落としどころを探る事になったりします。でもいつの間にやらとっちらかった極端な画質設定になるは避けたいものです。
こんな時一定のチェック指標が先にあって、その基準と照らし合わせつつ最後は好みの調整が出来るのが一番ですよね?
そこで「UHD HDR Benchmark」なるものを購入してみました。
UHD HDRチェックの為の商品
これは文字通り4K HDRディスクまで含めて画質調整を助けてくれる商品。なかなかにマニアックです。
裏面の説明を見るとHDRはBT.2020、SDRはBT.709に準拠していて、HDRもドルビービジョン、HDR10+、HDR10、HLGまで対応している優れもの。
早速、先日購入した「DMR-ZR1」に入れてチェックしてみます。
初期設定とデモ動画
メニューを色々見てみると想像より遥かに多くのテストトーンが入っている事が分かりました。まずは輝度やHDRガンマ、オーディオコーデックを選択しておきます。我が家のテレビ LG C9Pは1,000cdでいいですね。HDRはP365 BT.2020を選んでおくのが良いそうです。オーディオは出力できるならどっちでもいいですね。
まず一番下にあるデモマテリアルを再生してみました。ドルビービジョンやHDR10+などどのフォーマットで再生するか選ぶと自然を映した映像が流れます。
まさに4K HDRのデモ動画。という事で別にこれを基準に画質を合わせなくても普段よく見ている動画コンテンツでチェックすれば良いみたいです。
様々なチェックメニュー
代表的なチェック項目を幾つかご紹介しておきます。
まずはSDRコントラスト。このコントラストはHDRでは確認する必要がないそうです。上下の2本の白帯に小さな数字が書かれていますよね。この写真では分かりませんが、実際にテレビで見るとこの数字一つ一つがグレーの四角で囲まれていて、右から左、左から右にグラデーションになっています。これが一番端っこで四角の枠が見えなくなっていれば正解。全部に枠が見えてしまうとコントラストが高すぎて、枠がなくなっている数字が沢山だとコントラストが弱い。という事のようです。なかなか分かりやすい指標です。
次は輝度。これも写真じゃ分かりづらいですね。黒から白のグラデーションの帯が中央にありますが、更にその中央に少し細めの帯があります。この帯がどこまで見えるか?がどこまで輝度表現出来ているか?の指標です。実際に見た感じだと明るい方は1,300cdくらいまで見えている印象でした。C9Pの公称最大輝度はもっと低いですが、どこまで見分ける事が出来るか?という基準になりそうですね。輝度や明るさの調整をここで行っても良いと思いす。
次はシャープさ。中央の円の中にある格子上の線や、縁から斜め四方に伸びている黒い線が、テレビのシャープさを変えると見え方が変わっていきます。シャープさを最大にすると黒い線に白で縁取りされたようなハローが起こります。基本的にはシャープは0にしておくのが良いと思いました。
次はグレースケールでの色温度チェック。色温度がおかしいと上下の黒から白に掛けてのグラデーションに色が付いてしまうようです。うちの場合はここは綺麗にグレー再現出来ていました。
ここでもグラデーションや赤と緑のバランスなどをチェックしていきます。写真だと止まっていますが、色々点滅したり四角が表示されたり視覚的に判別がつきやすく作られています。
この辺りを見ながらテレビ側の設定を調整したり
プレイヤー(レコーダー)側でも微調整したり。という感じでしょうか。なかなか難しいです。
他にもチェックメニューが沢山
冒頭お話ししたように他にも「これでもか!」というくらいチェックメニューが用意されています。
これは音声遅延をチェックする画面。数字左の12から右端の11まで光が動いていきます。下の写真だと「13」の位置に光がありますが、これが左から右へさーっと流れていきます。ちょうど「0」の位置で「ピン!」と音が鳴るんですが、実際に「0」のところできちんと音が鳴っているか?をチェックする事が出来ます。
これは何でしょう?色覚異常をチェックするテストみたいですね。実際のテレビで見ると6つ全ての数字が判別できました。恐らく見えづらいものがあればそこの色調整をせよ。という事なんでしょうね。
こんな感じの線と色のチェック項目は他にもたくさんあります。線の太さ、色味などから設定をチェックできそうです。
これとかもう何のことかさっぱり分かりません。沢山の数字が書かれた四角が並んでますが、画面端を見ると隙間具合が違いますね。これはこれで正解なのか、それがダメって事なのかも不明です。
こういう感じのテストトーンも沢山入っています。滲み、モアレなどもチェックできるメニューが色々入っているのかも・・・かも・・・
これは色を合わせるメニューだそうですが「全青」というモードがテレビにないと役に立たないそうです。うちでは使い道がなかったです。
あとは実際の映像で微調整
色味、コントラスト、輝度、シャープさなどは最終的には実際の映像を観ながら微調整するのがいいですね。
特にDMR-ZR1では「白階調」と「黒階調」を細やかに調整できるのがありがたいです。特にLGの有機ELは黒が潰れがちになると言われていますし、下手に明るさをいじると一気に画面が白んでしまいます。あるいはコントラストを弱めてメリハリのない絵作りになってしまいます。
その点DMR-ZR1では明るさを変えずに白飛びを軽減したり、黒潰れを軽減する事が出来ます。もちろん多少は明るさも変わるんですが。
これは極端な例ですが黒階調を最大まで持っていくと黒く見えなかった部分が見やすくなります。これはやりすぎなので、微調整して妥当なポイントを見つける感じですね。個人的には白階調、黒階調ともに+1~+2くらいにしておいてもいいんじゃないかなと思いました。HDRトーンマップはオンにしておきたいと思いましたね~。
まとめ
以上のように、多種多様なメニューやテストトーンを使って画質調整に役立てる「UHD HDR Benchmark」をご紹介しました。SDRと違ってHDRはとても調整が難しい(というかコロコロ作品によっても変わるので指標を置きづらい)と言われますが、こういう共通したベンチマークテストがあると、最初の基本調整が行いやすくなりますよね。
私にはちょっと難しい面もありましたが、UHD画質にこだわる方は持っておいて良い1枚なのではないかと思います。