映像機器

4Kテレビを調べてみる2015 その2 ~基本性能~

SONYもSHARPも東芝も、4KテレビのクセにYoutubeを4K再生できない。という驚きの事実を前回書きました。では他にもどんな側面で4Kテレビを比較すれば良いでしょうか?今回は基本性能部分に注目してみましょう。

●パネルと表示方式

分かりやすい基本性能部分の一つは「パネル」です。
各メーカーの主要モデルで比較すると大体以下のようなパターンに分かれます。

直下型LED か エッジ型LED か
VA方式 か IPS方式 か

例えばこんな具合です。
SONY    8500B  エッジ型LED(部分駆動なし)& VA(非公表)
SONY    9200B  エッジ型LED(部分駆動有り)& VA(非公表)
SONY    9500B  直下型LED & VA(非公表)
SHARP    US20  エッジ型LED & VA
SHARP    UD20  エッジ型LED & VA
東芝      J10X  直下型LED & IPS
東芝      Z10X  直下型LED & VA
パナソニック AX800 エッジ型LED & VA
パナソニック AX900 直下型LED & IPS

見て頂いて分かる通り、最新モデルでもかなりバラつきがあります。

直下型とエッジ型
直下型LEDは文字通り画面の真後ろにたくさんのLEDが配置されているので、明るいエリアは輝度を上げ、暗いエリアはLEDを点灯させない。という方法が採れるのでコントラストがしっかりと出せます。例えば夜の街並み。煌煌めく街明かりはしっかりLEDを点灯させ、夜空の暗い部分はLEDの点灯を抑えて白浮きを防ぐ。といったイメージですね。

一方エッジ型は画面のエッジ部分(周囲)から照らしていますので直下型ほどクッキリ明暗を描けません。直下型LEDの方が電気代は掛かりますが、画質面では優位だと言えます。

例えばSONYは最上位の9500Bは直下型、次のの9200Bはエッジ型ですが部分駆動させて、画面内のエリアのコントラストコントロールが出来るように、そして基本モデルの8500Bはエッジ型で部分駆動なし。となっていて、綺麗にシリーズの差がパネルの差になっていますね。

直下型・・・画質(コントラスト面)で優位
エッジ型・・・電気代(消費電力)で優位

IPSとVA
次に、IPSかVAか。ですが、IPSは視野角が広く、斜めから見ても白っぽくならないのが特徴です。スマホのディスプレイではVAよりIPSが採用されている方が好まれる傾向にあります。一方、VAは視野角ではIPSに劣りますが、コントラスト表現(黒の沈み込みなど)は得意だとされています。真正面から見る前提であればVAの方が優位でしょう。これは最終的にはどちらが優れているとは言えず、リビングなどで大人数で見るならIPSの視野角の広さは有利でしょうし、ホームシアター用途で暗めの部屋で映画に没頭する。というスタイルならVAが有利でしょう。

IPS・・・視野角で優位
VA・・・画質(コントラスト面)で優位

パネルまとめ
上記をまとめると方式としては直下型LED&VAがコントラストで最も優れていると言えます。SONYの9500Bと東芝のZ10Xが該当しますね。

但し、では実際の見た画面が本当にこの理屈どおりの順位づけになるか。というと必ずしもそうではありません。各メーカーの作りこみ、調整などによって一概には言えないので、実際に画面を見て判断するしかありません。

例えば、パナソニックのAX800とAX900はVAとIPSという事で、斜めからみるとAX800は明らかに白っぽくなります。SONYも8500は明らかにコントラストで劣っています。黒の沈み込みが足りません。この辺りは仕様通りですね。

ではコントラストで「有利な直下型」且つ「不利なIPS」のパナソニックAX900と、コントラストで「不利なエッジ型」且つ「有利なVA」のSHARP UD20という、完全逆パターンの2機種を比較するとどうでしょう。

斜めから見るとSHARPが白っぽくなるのはVAの宿命ですが、正面から見るとUD20は非常に綺麗にコントラストを描けています。エッジ型ですがしっかり黒が沈んでいる印象ですね(後述するモスアイパネルもいい影響を与えていました)。但し、AX900と比較すると全体的に色が薄く見えます。このせいでAX900の方がコントラスト面で優秀に感じてしまいました。ですが、これはパネルの問題というよりも単にパナソニックが「濃い色付け」で、SHARPが「薄い自然な色付け」になっているだけですので、どちらがパネルとして優秀か以上に各社の色味や味付けが先に印象に影響してしまったというのが本当のところかもしれません。

特に色味については、店頭では量販店御用達の「ダイナミックモード」の画質設定になっていることを考慮した上で、モードをスタンダードにしたり、各メーカーが得意としているモードも試してみたり、パラメータをいじったり。という比較が必要になるので、注意が必要ですね。

グレアとノングレアについて
ここも意外に好みが分かれるところですよね。グレアは鏡のように光を反射するので見づらいという方もいますが、映像が非常にクリアで立体感も出ます。ノングレアは光の反射は抑えられますがノッペリとした映像になりやすいと思います。最近はハーフグレアのような中間を採るテレビも多いですね。

そんな中、結構特殊なのがSHARP UD20の「モスアイパネル」です。非常に反射が抑えられていて、光の映り込みという意味で言えばかなり優秀です。同じSHARPのUS20も低反射パネルで結構優秀ですが、UD20と比較するとまるで別物です。但し、モスアイパネルは手入れが面倒で、子供がいる家庭でベタベタ画面に指紋を付けられる可能性がある環境では選択しない方が良い気がします。(詳細は是非調べてみてください)

ある意味、単なるLEDやIPS/VAなどの方式以上に、このパネルの表面の仕様は視聴する時の印象に影響を与えますから、ここも店頭視聴時のチェックポイントとして重要だと思います。

とはいっても家電量販店では比較したいテレビが必ずしも隣同士で設置されているとは限りません。私の場合も、見たいテレビが隣同士に並んでいるところを探すのに苦労します。東京の例ですが、有楽町ビックはメーカーごとに分かれて設置されていて別メーカーのテレビを隣同士で比較する事が難しい環境です。一方、秋葉原のヨドバシや池袋のヤマダであれば配置にバリエーションがあって比較しやすいですね。

照明の具合が少し違うだけで印象も変わりますので意識する必要があります。また、異なるソースでの比較はあまり意味がありませんが、仕方ない場合もソースに惑わされないよう気を付ける必要がありますね。

●倍速について

倍速液晶の能力比較は更に困難です。比較したいテレビ同士で、倍速能力が分かりやすいソースで比較出来た人はラッキーだと思います。

現在4Kテレビの倍速は「2倍速」ばかりです。2Kテレビだと「4倍速」が当たり前になっている昨今、4Kテレビは倍速技術では2K以下なのか。と感じると思いますが、実態として画像の滑らかさはこの倍速の数値だけで決まるものではないようです。4Kは2倍速ですが2Kの4倍速と同等どころか、それ以上に感じる。というレビューもありますから、これまた数字だけに囚われず、いろんなソースで視聴してみて自分の基準をクリアしているか判断した方が良いと思います。

ゲームなどではむしろ倍速技術が遅延の原因になり逆効果になるケースもありますから、この辺りに配慮したモードに注目したり、実際の能力がどうか視聴して確かめる。という事が必要でしょう。

●スピーカーについて

意外と大事なのが本体内蔵スピーカーです。私は映画やゲームを観る時はAVアンプとスピーカーを使いますから、内蔵スピーカーの能力はそこまで重要ではないんですが、それでも気軽にテレビを観る時に内蔵スピーカーだけで楽しむことも多くあります。せっかくならその時にもしっかりした音で聴きたいですよね。

スピーカーに拘りがあるのは、SHARPのUD20、SONYのX9200B、そして他の例では挙げていませんが、三菱のLS1シリーズです。

騒がしい量販店で音の良し悪しを見極める事はなかなか難しいですが、ライブ映像の臨場感や響きなどはやはり優秀だと思います。SHARPなんかは画面下にさほど目立たないようにスピーカーが配置されていますが、それでもやはり他のモデルとは違うな。と感じさせるクオリティがありました。

もちろん出力だけでは単純に測れませんが、およそメーカーの思いやコストの掛け方の指標にはなりますので並べてみます。一部サイズによっても異なるモデルがありましたので55~60インチクラスのモデルで記載してみます。

東芝 J10X、Z9X、Z10X・・・30W(15W+15W)
出力から見ると東芝はあまりスピーカーには力を入れていない印象です。更に古いモデルのZ8Xは40W(20W+20W)でしたので出力がダウンしてるのも残念なところです。

パナソニック AX700・・・20W(10W+10W)
パナソニック AX800、AX900・・・18W(4W+4W+10W)

いかにスピーカーに力を入れる気がないかがこの出力だけでもイメージできます。実際の音が本当にペラいかどうかはまともな検証が出来てないので分かりません。所有者の皆さんの感想を頼りにするしかないですね。

SHARP US20・・・35W(10W+10W+15W)
SHARP UD20・・・65W(10W+10W+15W+15W+15W)

UD20はさすがですが、US20も他社に比べれば十分ですよね。UD20はコンサート映像なんかを少し音量を上げて聴いてみてもらえたらと思います。私も「なるほど」と思わされました。横にスピーカーが張り出さずにこのクオリティであれば十分欲しい!と思わせるモデルです。

SONY X8500B・・・20W (10W+10W)
SONY X9200B・・・65W (12.5W+12.5W+20W+20W)
SONY X9500B・・・30W (10W+10W+10W) (85インチは40W (10W+10W+10W+10W))

パネル同様、シリーズ毎にスペックを変えてくるのがSONYの特徴です。X9200Bは左右に大型スピーカーが張り出していて、ツイーター、ウーファー、サブウーファーを搭載しています。出力も圧倒的ですね。逆に最上位のX9500Bは大型スピーカーを搭載していないので出力も控えめです。

三菱 LS1・・・58W(ツイーター:14W+14W、ウーファー15W+15W)
ダイアトーンの技術を投入したスピーカーが合体した仕様で、評論家の間でも音では三菱が一番だ。と評価されているようです。さすがに評価が高いので、私の選択肢には入っていないメーカーですが比較としてご紹介してみました。

スピーカーは重要な要素でありながら、店頭で比較する事がすこぶる難しいです。そこに注目する消費者が少ないからだと思うんですが、出来れば家電量販店でも配慮した比較視聴が出来る環境があると嬉しいですね。

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