我が家では弩級ステレオパワーアンプROTELのRB-1592SEを使っているのですが、今回同じRB-1592SEをもう一台追加してバイアンプ化を行いました。
理由
元々RB-1592SE以前は、同じROTELのRB-1582MK2を使っていましたが、それではメインスピーカーとして導入したinfinityのIRS-SIGMAを全く鳴らせず、駆動力アップを求めて採用しました。
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RB-1592SE導入とIRS-SIGMA環境完成【オーディオシステム入替 その3】
ここまでのあらすじ。 (第1話)infinity好きな私が、メインスピーカーをIRS-OMEGAからIRS-SIGMAに変更 ↓(第2話)アンプが非力過ぎてSIGMAがちゃんと鳴らない(想定の範囲内) ...
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この環境で音への不満はほとんどなかったのですが、更に昔経験していた部屋に響き渡る低音までの再現は出来ていない事。また情報量が多くなると中高域(特にボーカル付近)に雑味を感じる事がある事、などからもっと心地よく聴ける機材もあるのでは?と実は先にスピーカーを物色し始めたんですよね。ただ店頭で軽く聴いてみてそんな次元に到達しているようなものは全くないし(あるいは超超ハイエンドの世界か)、むしろ我が家のIRS-SIGMAの優秀さを痛感するばかりでした。
かといって、DACもプリもパワーも全部好みに合わせてチョイスしてきて、どれかに不満がある訳でもない。どうしようかなぁ。と思っていたところに、そういえば「IRS-SIGMAはステレオパワーアンプ1台で鳴らせるようなスピーカーではない」と言われていた事を思い出しました。そのくらいアンプ食いの鳴らしにくいスピーカー(かつての物量時代の最たる作品)と言われていたんですよね。
機材を変えることなく、スピーカーのポテンシャルを更に引き出す方法が一つありました。そう、パワーアンプを2台にしてバイアンプ化する方法です。
大好きなRB-1592SEをもう一台導入することで、好きな音の傾向は変えずに駆動力だけ強化できる。と思ったんですよね。
導入
もうすでに販売終了となっており後継もないスペシャルモデルであり且つ予算もない中でしたが何とか入手が叶いました。とにかく重いです。1台40kg。この2台だけで80kgもあります。奥さんが協力してくれなければ設置すら出来ないところでした。
まずこれまでの接続を確認します。
コントロールアンプ(LUXMAN C-8f)
パワーアンプ(ROTEL RB-1592SE)
スピーカー(infinity IRS-SIGMA)
で、1台のパワーアンプからバイワイヤリング接続していました。シングルワイヤよりはノイズの心配なども少なくなり良好だったと思います。
プリパワー間はRCA(アンバランス接続)とXLR(バランス接続)のどちらも可能です。
ROTELのアンプにはXLR(バランス)接続がありますが、アンバランス回路で設計されておりROTEL社自身もアンバランスの方が音質が良いと言っています。ですから当然アンバランスで接続したいところですが、一方上流のDAC、コントロールアンプはフルバランス回路でS/Nもバランスの方が優秀という悩ましい状況でした。ですから、時々でバランスやアンバランス接続を切り替えたりして楽しんでいました。(アンバランスの方が締まりがあり、バランスは少し緩めで量感がある印象)
上下振り分けバイアンプ
まず試したのは上下振り分けです。1台のアンプで左右スピーカーの高域を担当し、2台目のアンプで左右スピーカーの低域を担当するので、高域アンプと低域アンプという分け方ですね。プリパワー間は同じくXLRでもRCAでも行えます。
上下振り分けのメリットは、高域と低域を完全に別アンプに分けることで、低域の悪影響を高域が受けなくなり、高域の雑味が取れクリアで澄んだ音になると言われます。
左右振り分けバイアンプ
次に行ったのが左右振り分けです。今度は1台のアンプが完全にスピーカー1台を受け持つ振り分けで、左用のアンプとスピーカー、右用のアンプとスピーカーという形でセットにします。接続はなかなかトリッキーでコントロールアンプの左出力1と2をパワーアンプの左入力、右入力にとどちらにも同じチャンネルの情報を送り込む必要があります。
左右振り分けのメリットは、左右の分離感が増すことで奥行きや立体感が出る事、また1台バイワイヤでも2台上下振り分けでも「1台で低域スピーカー2台分を負担していた」ところから「1台で1つの低域だけ受け持てばよくなる」という事で駆動力に余裕が生まれ、より低域が力強くなる。と言われます。
ですから一般的には、解像感、透明感を求めるなら「上下振り分け」、立体感、力強さを求めるなら「左右振り分け」と言われるそうです。ただ、この辺りはアンプやスピーカーの特徴、どのくらいスピーカーに潜在能力があるかにも依ると思いますので、実際に聴き比べしながら判断するのが良いと思います。
そして、私の場合はここから更に変則型に辿り着きました。
上下振り分け 高域バランス/低域アンバランス バイアンプ
高域をXLR接続、低域をRCA接続してみました。先に述べた通り「RCAは締まり、純度」を高め、「XLRは音圧、量感」を高めてくれる事が分かりましたのでこの接続で音の変化を期待してみます。
この接続だと、少し音がこじんまりして低域も弱めになってしまいました。なんとアンプ1台でのバイワイヤリング駆動よりもなぜか低域が弱くなってしまったのです。感覚的には不思議ですが、おそらく中高域が強調されて、低域が埋もれがちになったのだと思います。それでもちょっと極端で、コントロールアンプのトーンコントロールで低域を思い切り強調してもそれでも低域が出すぎる感じにならなかったのです。本来ズンズンなるはずの低域がボンボン程度で、一般的なトールボーイくらいの鳴りになっています。
そして次に行ったのが逆パターンです。
上下振り分け 高域アンバランス/低域バランス バイアンプ
これはヤバいです。もうバイワイヤリングどころか、一般的な上下バイアンプ、左右バイアンプとも全く違います。それらの違いの2倍以上の音の変化を感じます。
まず高域の透明感が際立ちます。ボーカル付近の雑味がなくなりクリアな音質。上下振り分け&RCA接続することで更に純度が高まっている印象です。ストリングスの滑らかさ、ピアノの透明感、弾かれる弦のリアリティなんかは一段と上がった印象。そして、低域の量感が半端ないです。我が家史上最大級といっていいと思います。ティンパニ、コントラバス、ベース、バスドラ、低域楽器が圧倒的な響きを持って主張してきます。一定の満足は得ながらも何となく物足りなさを感じていた「中高域の雑味」「低域の響き」その両方が最も改善されたのがこの接続方法でした。
一部曲によっては低域が強く出過ぎたり、中高域の線の細さを感じる事もあります。でもハマる曲ではめちゃくちゃ気持ちいいです。オーディオは個人的な趣味ですから特性やセオリーよりも「実際に試してみて自分が気持ちいいかどうか」が全てだと思っています。
ただこの音もしばらく馴染んでくると低域が強くなりすぎる可能性もありますので、上下ともアンバランスにさくっと変えられるようにケーブルを準備してあります。幸いアンプを並べて置いているので抜き差しするだけでいかようにも試せます。それよりも音源による差も大きいのでこの辺りはトンコンも含めて調整していこうかなと思います。
※ちなみに左右振り分けでXLRとRCAを分ける選択肢はないです。左右のスピーカーで鳴りを変える意味がないですからね。