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【レビュー】LUXMANの純A級アンプ L-550AXII を導入しました

我が家のVienna Acoustics Beethoven ConcertGrand SymphonyEdition(Beethoven CG SE)を鳴らす為に、LUXMANのL-550AXIIを導入しましたのでレビューしたいと思います。

従来構成と導入理由

Beethoven CG SEに繋がっている構成だけ抜き出すと現在の環境は下記となっています。

AVアンプSR8015では他にサラウンドスピーカーも鳴らしているのですが、フロントのBeethoven CG SEを鳴らすにはやや力不足に感じる事がありました。

ソースによって感じる点

  • 中低域がやや膨らみ中高域がマスクされるケースがある
  • 低域の量は出ているがパンチ力はやや足りない
  • 高域がややざらつき、伸び切らない

とはいえ正直SR8015でも十分鳴らせています。曲によってはもうこれ以上ないくらい不満がありません。ただ、ソースによってこれらの物足りなさが出てくるのも事実。音のメリハリ、パンチ力、クリアさなどはアンプの力不足によるものなのでアンプを追加する事を検討しました。詳細は前記事にまとめております。

【購入検討】Beethoven CG SEに合わせるアンプを買おう!

スピーカーをVienna AcousticeのBeethoven Concert Grand Symphony Edition(Beethoven CG SE)に替えたことで、アンプに物足りなさが出て ...

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導入したのはLUXMAN L-550AXII

そこで今回導入したのはLUXMANの純A級プリメインアンプL-550AXII(L-550AX MARK II)です。

プリメインアンプとしてはミドルレンジに当たるかなと思います。LUXMANの純A級トランジスタープリメインと言えばL-590AXIIがフラグシップでしたがその弟分に当たります。※ほかにもL-595A limitedという復刻限定モデルも凄そう。

今回の導入でも本命はL-590AXIIと考えていましたがL-550AXIIは単なる弟分とは言えない良さがあるという情報からまずはこちらを導入してみました。いや、実は一度ラックスのプリメインを使ってみたかったんです。この前面デザイン大好きなんですよね。

天面と背面はこんな感じです。

上位モデルのL-590AXIIの天板はシルバーで排熱口部分のデザインも加工が施されていますのでと比べるL-550AXIIはシンプルでややチープな感じ。でも前面はほぼ違いがなく、弟分のL-550AXIIはやや背が低いだけとなっています。

左:L-590AXII 右:L-550AXII

リモコンはプリメイン共通のRA-17A。電源ケーブルは一番オーソドックスなJPA-10000になっています。電源ケーブルは気が向けばJPA-15000あたりに替えても良いかも。

設置と音出し

実際に設置して音出しをしてみました。

接続は次のように変更しました。

音楽ソースの再生はX45からL-550AXIIへ直結させ、AVアンプを噛まさないピュアラインを作ります。そしてその他映像ソース系は全てAVアンプからL-550AXIIに多段接続とします。

基本的にはラックスの純A級らしい滑らかさがあり、低域も期待していた通りの力感があります。特にパンチ力は思った以上にあると思いました。そして低域がしっかり出ている場面でも中高域がマスクされず透明感を持って鳴ってくれます。課題であったメリハリのなさ、パンチのなさ、ざらつきは全て良い方へ改善されました。

Vienna AcousticsのBeethoven CG SEと組み合わせているからか、ネットの一部で言われているような「低域が出ない」という感じはなく、少なくともAVアンプで鳴らしていた時と比べれば沈み方、量感、力強さ全てが強化されました。特にここぞの時のアタックには驚かされます。低音の質ってやっぱりこの辺りに出てきますよね。イコライザーやトーンコントロールで低域の音量を上げても所詮は量が増えるだけで力強さが増すことはありませんからね。クラシックやブラスバンドの音の広がり、低域の深みも十分なレベルになってきました。管楽器のアタック感が出てくるのもこのレベルだからでしょう。また音楽だけでなくゲームをしている時のBGMにも厚みと広がりが出てテンションが上がります。そして静寂とのコントラストも素晴らしい。

ネット情報を分析すると組み合わせるスピーカーがかなり物量が必要なタイプの場合には純A級のL-550AXIIではどうしても低音不足になるのかもしれません。一方Beethoven CG SEは3発ウーファーを搭載したトールボーイではありますが、それでも比較的鳴らしやすいスピーカーのはずで相性もとても良いと感じます。

とはいえ昔の環境で経験していたような腹に響く重低音は鳴っていません。全体として低域の質・量は向上したものの、楽曲によってはやや上品な低音です。この辺りはスピーカー側の限界もあるでしょう。下手にスピーカーを30cmウーファーモデルなどに引き上げていくと今度はアンプ側が追随できないという事になります。そういう意味ではL-550AXIIにちょうど合うスピーカークラスを選ぶ事も大事になってくるかもしれません。また上位クラスのL-590AXIIになるとこの辺りの表情がどう変わるのか?興味あるところです。

純A級アンプは電源を入れてから本気を出すまでに時間が掛かると言われています。本機もやはりその印象がありました。

鳴らし始めは先ほどのような印象ではありますが、やや硬さも残っているように思います。ピアノの高音部分ではでピンと張るような緊張感を残しているような鳴り方です。これが2時間も経過してくるといつの間にか音が柔らかくなっていきます。中低域もよりふくよかになり、全体がまろやかになっていきます。まさに温まった音というに相応しい音色です。

それでいてパンチ力は失われておらず、中高域が籠る感じもありません。あくまで輪郭はまろやかに、一つ一つの音の質はしっかりと鳴っているという感じです。他の高解像系アンプが吸音材が敷き詰められた録音スタジオで鳴る音だとすれば、本機の音はライブハウスやホールなど音が響く会場で高解像な演奏を聴いている印象です。LUXMANの音はとても不思議な感覚ですね。

いずれにせよ鳴らしはじめと数時間後では音が違うので、お店で試聴する時はなかなか本領発揮した音を聴くことが出来なかったアンプかもしれません。イベントなどで1日鳴らしている場所でなければ評価が難しい気がしました。そのくらい音が変わります。

ただ鳴り始めが決してスカスカ、カサカサな音な訳ではなく、しっかり鳴らしながら徐々にまろやかさが増していくという感じなので聴けば聴くほど味わいが深くなっていくと考えるのが良いかもしれません。可能なら音楽を聴くより少し前にアンプだけ電源を入れておくのが良さそうです。

ちなみに天板の発熱は確かに手を近づけると温かい空気が出ているのが分かりますし触ると熱い。ただ火傷するほどではありませんし想像の範囲内かな?という印象。OPPO HA-1の時の発熱と近い印象です。これから夏場でどんな感じになるか注意してチェックしてみたいと思います。

設定による違い

逸品館さんのレビューで本機は「ラインストレート」をオンにする事で全く音質が変わると評されていました。

ラインストレートとは、トーンコントロールやバランスなどの設定を全てパススルーするスイッチで、余計な回路を通さずOUTへ直結させていく機能です。確かにトーンコントロールなど全てをフラットな状態にしていた場合でも、ラインストレートのオンオフで明らかに音が変わります。

回路パススルーのラインストレートがオンになると明瞭さ、力強さがUPし純度が上がるのです。逆にオフにするとややぼんやりとした音になります。ここからいくらトーンコントロールでBASSを持ち上げても力強さは出てこないでしょうし、TREBLEを上げても透明感は上がらないんじゃないでしょうか。もしデモ試聴で「ラインストレートオフ」で聴いてしまっていたら低域がしっくりこないと感じられてもしょうがないと思います。

通常運用としてはライトストレートはオンの一択です。これは実は昔使っていたC-8fでも同様でした。

またもう一つ。本機背面には通常のLINE接続のほか、MAIN INという端子があり他のアンプのプリアウトから接続するモードが利用できます。

MAIN INに接続された入力信号は前面のセパレートスイッチをオンにする事で鳴るようになります。これは本機のプリ機能をスルーして直接メインアンプ(パワーアンプ)部分に直結させる仕様になります。

つまりAVアンプのプリアウトから接続すべきは本来この端子という事ですね。この接続によりAVアンプのプリ機能+本機のパワー機能の組み合わせになるので、要するにAVアンプにパワーアンプを増設した事と同じ使い方が出来るという事です。(逆に本機にはプリアウトもありますので他のパワーアンプに接続する事も可能です)

ボリュームも本機のボリューム機能は無視され、AVアンプのボリュームのみで運用する事になります。

これは繋ぎ変えて比較してみたのですが、私は結局このセパレート機能を使わず、AVアンプのプリアウトから敢えて本機のLINE INに接続して双方のプリ機能を経由する方式を採っています。理由は昔AVアンプの先にコントロールアンプを接続した際に印象が良かった為です。余計な回路を通る分音質劣化に繋がるイメージもありますが、私としては敢えて上質なラックスのプリの音を重ねたいのでこの方式を採っています。比較してみても特に純度が落ちる印象もありません。基本的には本機のプリ機能をしっかり通した音作りをしたいと思っています。

ちなみにプリを2段重ねにすると、それぞれのボリュームが動作してしまうので両方のボリュームで調整が必要になってしまいます。音楽ソースのX45もプリ機能が付いていてボリューム操作が可能です。

つまり
・音楽ソースは X45のボリューム+L-550AXIIのボリューム
・映像ソースは SR8015のボリューム+L-550AXIIのボリューム

それぞれで調整が出来てしまうという事です。

この際、【1】上流機のボリュームを上げてL-550AXIIのボリュームを小さめにするパターンと【2】上流機のボリュームを下げてL-550AXIIのボリュームを上げるパターンで比較してみましたが、聴感的には1番目の方が音が良かったです。

特に音楽ソースについてはX45は最大ボリュームにしておいてL-550AXIIの方だけで音量調整するのが最良です。これはL-550AXIIの方が音量を絞っても音質への影響が少ない品質の高さがあるからだと思います。ボリュームを絞ると音質が下がる方の機器はなるべく大音量のままにしておくのが良さそうです。

この点からも先ほどのMAIN INによるプリ機能スキップはさせず、プリ2段構成としてL-550AXII側でボリューム調整をする事には優位性があるのでは?と考えています。そしてむしろ上流機にボリュームのパススルー機能があるなら上流機側のボリューム回路をスキップさせるのが最良だと思います。

まとめ

今回の導入に関しては期待通りの結果といって良いと思います。課題部分はある程度解消され音が良くなりました。想像を遥かに超えるレベルだったか?というとそれは言い過ぎですが十分想像した価値を提供してくれています。

自分史上最高だった時は上流から下流までサーバ、DAC、プリ、パワー×2台、スピーカーと500万円くらいの機材を投入していましたのでそれを超えるには至りませんが、今回一旦リセットしてプレイヤー→アンプ→スピーカーという3段コンパクトの200万円構成でここまでの音が出せれば及第点だと思います。

十分音が楽しくなりましたし、心揺さぶられる曲も出てきましたし気づいたら少し涙している自分がいたり。ああ確かこれはピュアの音だ。と納得させられる音の出方がします。特にしっかり温まってからの音には何の不満もなくなっていきます。

また映像系も含めて基本はこの4台でまとまりましたのでとても収まりがいいと思います。

ただピュアオーディオは卒業と言ってわずか1年半でこの状態に戻ってくるとは思ってもみませんでした。十分ピュアな世界に戻ってきたと認めざるを得ません。今後機材の入れ替えはするとしても何とかこのくらいの構成で完結したいところですが心のどこかで「違うDAC入れたらまた変わる気がする」と思い始めている自分がいます。ああ沼再び。

2024年3月時点ゲーム機なども含め全ての構成は以下となりました。

ところで本モデルの名称ですが、本記事では公式サイトどおりL-550AXII で統一していますが本体にはL-550AX MARK IIと書かれているんですよね。正式名称はどっちなんでしょう。それ故にネット上ではL-550AX2、L-550AX Mark2、L-550AX Mk II などなど微妙に違う表記で紹介される事もありますね。

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