Galaxy Z Fold3からGalaxy Z Fold5へ移行して確認したいのはやっぱりカメラ性能です。特に写真の画質がどのくらい変わったのか?は検証しないわけにはいきません。
スペック上の進化
実はスペックを見る限りGalaxy Z Fold5のカメラはそんなに進化はないかな?と予想していました。スペックから見るカメラ性能の変化は以下の通り。
| Galaxy Z Fold3 | Galaxy Z Fold4 | Galaxy Z Fold5 |
アウトカメラ | 広角 12MP F1.8 超広角 12MP F2.2 望遠 12MP F2.4 | 広角 50MP F1.8 超広角 12MP F2.2 望遠 10MP F2.4 | 広角 50MP F1.8 超広角 12MP F2.2 望遠 10MP F2.4 |
ズーム | 光学2倍 デジタル10倍 | 光学3倍 デジタル30倍 | 光学3倍 デジタル30倍 |
インカメラ/カバーカメラ | 4MP F1.8/10MP f2.2 | 4MP F1.8/10MP f2.2 | 4MP F1.8/10MP f2.2 |
ビデオ撮影 | 4K60fps | 8K30fps/4K60fps | 8K30fps/4K60fps |
Galaxy Z Fold3に対して画素数の向上、光学/デジタルズームの倍率向上などがありますがそれ以外の進化点はあまり見受けられません。またSシリーズは100倍ズームに到達するなどガンガンカメラ性能を引き上げて他のハイエンドスマホへの対抗心が凄いですが、Foldシリーズはややおとなしめの進化で、カメラ性能で他のハイエンドスマホに競り勝とうという意識が低いのかな?なのであんまりカメラの進化は期待できないかな?と感じていたんですよね。
標準は1200万画素モード
Galaxy Z Fold4から50MP対応になりましたが標準モードは変わらず1200万画素です。さすがに50MPになるとファイル容量も大きくなりますし12MPくらいがバランスは良いですね。
アスペクト変更のところで「4:3 50MP」を選ぶと50MP撮影ができるようになります。ちなみにズームも50MPモードでは6倍までとなります。
さて、ではここから実際に撮影してきた写真を比較していってみましょう。Galaxy Z Fold3とガチンコ比較という事でまずは1200万画素標準モード同士で比較してみましょう。
日中撮影~食べ物~逆光
▶灯篭
全体的にFold5は色鮮やかで、クリアに締まっています。比較するとFold3は若干ぼやっとした写真になっています。
▶原爆ドーム
空の明るさ、建物の解像感、などシャキッと映っているのはFold5ですね。右のFold3はかなり重たい雰囲気になっています。
ドーム上部をトリミングして拡大してみました。上がFold5、下がFold3です。
今度は不思議なことにFold3の方が高解像で、Fold5の方が輪郭が甘い事が分かりました。つまり、全体を広く見たときにはFold5の方が精細で締まった絵に見えるのに対し、実際に拡大するとFold5の方が甘いという事です。とはいえ相当拡大した比較ですので手持ち撮影による誤差と言えなくもありません。
▶城
こちらは比較的近い写真が撮れていると思いますが、やはりFold5の方が鮮やかに色コントラストも出ています。最上階の鮮明さもFold5が優れていますね。
先ほどの原爆ドームと同じく一部拡大してみましょう。上がFold5、下がFold3です。ほんの僅かに下のFold3の方が文字が細く読みやすい気がします。
天守閣最上階部も見てみましょう。同じく上がFold5、下がFold3です。
こちらは解像感に違いはなさそうですね。ほんの少しFold3が明るく、良く言えば情報量が多く、悪く言えばノイジーで浮きが見られるように思います。
では、それぞれトリミングによる拡大ではなく「ズーム撮影」した場合はどうでしょう。下は10倍ズーム比較。左がFold5、右がFold3です。
今度は白表現、暗い部分の潰れのなさ、網部分の細かさなど明らかにFold5が上回りましたね。望遠での性能は確実にFold5が上回っているように思います。
そしてFold3は先ほどの10倍までですが、Fold5はそこから更に30倍までズームすることが可能です。
ここまで寄ってもしっかり解像感が保てておりノイズもしっかり抑えられていますのでFold5の30倍ズームは非常に実用的だと思います。
▶食べ物
Fold5は肉の艶っぽさ、質感が良く描けています。
▶逆光
かなり強い逆光で肉眼ではまぶしすぎて何も見えないというところで撮影してみました。両者光を抑え込もうとしていますがより抑えているのはFold5の方でしょう。建物の細かな部分まで光に負けずに描けています。ただ自然なのはFold3の方かもしれません。かなり強い逆光の中で撮影したにもかかわらずFold5は空も鮮やかすぎる気がしますね。加工感を感じる絵に仕上がっています。
夜景~ローライト撮影
▶夜のビル
夜のシーンですがFold5は光の抑え込みが見事ですね。右のFold3は信号や照明の光が挿し込んでしまっています。Fold5は明暗のコントラストも良いですね。
▶夜の新宿武蔵野通り
Fold5は異常なまでに白飛びが抑えられており電飾の中のフレームが見えるほどです。これは肉眼で見るよりも更に光が抑えられているのでやややりすぎな気がします。一方奥のビルが上階の方まで描写できているのはFold5の方が良いですね。
▶夜の新宿東口通り
空の黒、電飾のコントラストなど非常に難しいシーンですがどちらも十分なクオリティで撮影できていますね。僅かにFold3の方が空が明るく電飾の白飛びも大きめなので、Fold5の方がビシッと引き締まっています。
▶夜のALTA前
これもどちらも高いクオリティで撮れていると思います。左のFold5の方がALTAビルの壁面の色を明るく出せていますね。この明るさバランスで左端の木も存在が分かります。非常に明るい電飾があるシーンでは白飛びしないように全体を暗く写し出すのが通常ですがFold5はビルを明るく映しながらディスプレイ部分が白飛びしていないのでHDR処理が上手く出来ていますね。
▶夜の新宿ビル
空やモード学園ビル、左のクレーンが立っているビルなどは同等の明るさ、精細感で描きつつ、右側の「龍角散」のライトはFold5の方が上手く抑え込めています。この辺りもHDR処理の補正力がFold5の方が高まったという事だと思います。
サンプルとしてこの画像のトリミングを拡大してみましょう。上がFold5、下がFold3です。
拡大した時の解像感もほとんど差がない印象ですね。若干Fold3はノイズが多いでしょうか。
▶極端に暗い場所(ローライト)での明るさ、色再現
さて暗いシーン最後は照明を消した室内です。
肉眼ではこのくらいの明るさで見えているトトロハウスがスポットライト無しでどこまで明るく色味を再現できるか見てみましょう。
Fold3も見事だと思ってましたが、Fold5は更に上回りました。家の赤、白、青、どれもFold3よりも明るく鮮やかに描けています。
ズーム比較
先ほどズームでの比較も少し行いましたが、もう少し細かく見てみましょう。
▶展望台からの風景
等倍から順にズーム撮影していきます。こちらは等倍。
次に光学2倍
光学3倍(Fold5のみ)
デジタル10倍
同じデジタル10倍でもかなり画質が違ってきます。看板部分をトリミングしてみましょう。
右のFold3は薄ぼやけてしまっているのが分かりますよね。色乗りも悪いです。
そしてデジタル30倍(Fold5のみ)
デジタル10倍をトリミングしたものとほとんど変わりませんが、これだけ実用的な30倍であれば利用シーンの幅が圧倒的に広がりますよね。
▶デジタル10倍比較
デジタル10倍だけの比較もしておきましょう。このサイズだと違いはあまり分かりませんがオリジナルサイズに拡大すると精細感が全く違ってきます。
通天閣部分をトリミングしてみました。どちらも1200万画素のデジタル10倍ですがこれだけ解像感が違うのは大きな進化と言えますね。
月の撮影
▶夜の月
それぞれ最大ズームで撮影してみました。Fold5は30倍。Fold3は10倍です。
ちょっとこれは圧倒的すぎませんか?Fold3ではどう頑張っても月の輪郭が捉えられなかったのに、Fold5では模様までくっきり描写できています。Foldシリーズもいつの間にか月が撮影できるようになっていたんですね。
ただSamsungは月をAIで捏造している!という噂が一時期話題になりました。
なんでもGalaxyの100倍ズームモデルでは左のぼやけた月の画像を撮影しても右のようにディテールを勝手に復元(つまり推測して生成)してしまう。というのです。
確かに30倍で撮影した時にAIがグっと画像を瞬時に補正している感はありましたので、朝の月でもう少しズーム比較してみることにしました。
▶朝の月
Fold5、Fold3それぞれ等倍です。さすがに月が点ですね。
次はFold5光学3倍。Fold3光学2倍です。光学ではそれぞれここまでが限界。よく見るとFold5の方は少し月の中の模様が見えていますね。
次はデジタル10倍。Fold3はデジタルでもここまでが限界です。Fold5で月の模様が写し出されているのがハッキリと分かります。Fold3の方は白飛びしてしまったので、しっかり撮れるようFold3の方は明るさを落としてみました。
次はFold5のデジタル20倍。ここまで寄ると月の輪郭、模様の細やかさまでわかります。決して何かを捏造しているわけではなく倍率の低いところから確実に正しく拡大されている事を実感します。
そして最後はFold5デジタル30倍です。20倍とさほど変わらずそのまま拡大した感じですが、30倍だけ急に補正が強くかかりました。ノイズが抑制され加工感が強まった気がします。とはいえ、10倍、20倍からそのまま拡大しているのは事実でしょうし、朝の月がこれだけ鮮明に撮影できるのは素晴らしいですね。
50MPも試してみる
さて1200万画素比較でもFold3に対してFold5は大きく進化していました。鮮やかさ、コントラスト、光の抑え込みなどFold5はレベルが高く、ズームも同じ倍率でも明らかにFold5の方が精細に描けていました。それでいて光学は3倍まで、デジタルは30倍まで伸びているので写真を楽しむという点では想像以上の変化だったと思います。
さてではFold5で対応した50MPでの写真も比較してみましょう。
ここからはどちらもGalaxy Z Fold5で
左が50MP。右が12MPです。
全体をパッと見る限りはそんなに差は感じませんね。
下の時刻表部分をトリミングしてみました。それほど大きな違いはないですが右の12MPの方は少し無理して解像感を上げようとしている気がします。左の50MPはとてもナチュラルに描かれています。おそらく50MP撮影はほぼ無加工、12MPでは自動補正が強めに入るのではないかと想像します。
もう一枚別のシーンです。
同じく左が50MP。右が120MPです。やはりおそらく50MPは撮影したままの絵作りで、12MPは補正で色鮮やかに、解像感も高めにしようとしている気がします。
一部トリミングしてみましょう。やっぱり自然なのは左の50MP。12MPの方は輪郭を強調してやや不自然に見えます。
これだけ拡大しても50MPと12MPの解像感の違いが大きく表れないというのは12MP側の補正能力の高さが凄いと思います。拡大してより自然なのは50MPかもしれませんが、ここまで拡大することはあまりないと思いますし、拡大したいならデジタルズームを行えば良いので、それほど50MPで撮るべきシチュエーションは多くないかもしれません。
ちなみにデジタルズームで撮影するとこんな感じです。無理やり等倍からトリミングするよりデジタルズームを使った方が確実にキレイですよね。
これで1枚目の夜の大阪駅のファイル容量は50MPが12.1MBなのに対し12MPなら5.14MBで済んでいます。2枚目のRound1は50MPが9.77MBに対して12MPは3.13MBと大幅にファイルサイズが小さいです。
50MP | 12MP | |
大阪駅 | 12.1MB | 5.14MB |
Round1 | 9.77MB | 3.13MB |
これだけの容量差ほどの画質差にはなっていないかなと思いますので、ほとんどの人は普段は12MPで十分なのではないでしょうか。より加工を抑えて自然に高解像で撮りたいという場合には50MPを選んでも良いと思います。
また50MPは6倍までズームが可能です。左50MP 6倍 右12MP 6倍です。
先ほどまでと色の傾向は違いませんが、トリミングして部分拡大すると完全に12MPの方が高精細になってしまいます。
補正力が凄いのか、たまたまなのかこれからも色々検証してみたいと思います。
まとめ
ほかにもいろいろ撮影を繰り返してみた結果をまとめると以下のように評価できると思います。
等倍撮影
- Galaxy Z Fold5 50MP
加工感を感じず自然な色味や輪郭で素直な解像感の写真が撮影できる - Galaxy Z Fold5 12MP
やや加工感が強いがメリハリがあり鮮やかで精細な写真が撮影できる。夜景はやや光を抑えすぎに感じることもあるがとにかく白飛びせずHDRがしっかり効く。またノイズもほとんどない。拡大して比較しない限り50MPより映えるので普段使いに良い。食事も美味しそう。 - Galaxy Z Fold3 12MP
Fold5と比較すると、色味が薄く、光に弱く、やや白っぽい絵になる。ただ加工感はFold5より少ない。夜景は優秀だが光の制御でややFold5に劣る。トリミング拡大するとFold5より解像感が高いケースも。
等倍撮影では全体的なバランスで言えばGalaxy Z Fold5の12MPで撮影しておけば問題ないと思います。特にSNSやスマホでの閲覧、共有などの用途に最適になるようなチューニングがされていると感じます。50MPはそもそもスマホで閲覧する為のモードではないと思いますね。
ズーム撮影
- Galaxy Z Fold5 50MP
最大6倍までしかズームできないのでそれほど使いどころはない印象。特に解像感は12MPに劣るので出番はない? - Galaxy Z Fold5 12MP
光学3倍も優秀だがデジタルズームの補正力は更に素晴らしい。やや不自然になってしまうケースもあるものの30倍での補正もしっかりしており、破綻しない写真が撮れるのは凄い。 - Galaxy Z Fold3 12MP
光学2倍、デジタル10倍までというのは比較してしまうと物足りない。更に同じデジタル10倍同士でも圧倒的にFold5の方が綺麗でFold3が上回る点はない。
ズーム撮影はGalaxy Z Fold5 12MPが万能でした。広角からトリミングするよりも、しっかり望遠で撮った方が綺麗に仕上がります。
以上のまとめとして、等倍、ズームともに普段使いとしてはGalaxy Z Fold5 12MPが最適という結論にしたいと思います。
そして、日中の撮影時のスマホの見やすさも大きな違いがありました。
上がGalaxy Z Fold5で下がGalaxy Z Fold3です。もう輝度が全然違いますよね。Galaxy Z Fold5は本当に直射日光の下でもめちゃくちゃクッキリ明るく画面表示されます。今まで直射日光の下だと見づらいなぁ・・・と思ってきましたが、Galaxy Z Fold5では室内にいる時と同じくらいの明るさにまで輝度を引き上げてくれますので撮影した写真のチェックも本当にしやすくなりました。
それほど進化はないのでは?と考えていたGalaxy Z Fold5のカメラですが、12MP同士の比較でここまで差が出るとは思いませんでした。この勢いでGalaxy Z Fold6ではSシリーズに匹敵するくらいまで進化させて欲しいですね。