ここまでのあらすじ。
(第1話)infinity好きな私が、メインスピーカーをIRS-OMEGAからIRS-SIGMAに変更
我が家のオーディオ環境をリニューアルしました。まず今回はこれまでの環境を振り返りつつ、スピーカー「IRS-SIGMA」導入に至った経緯をご紹介します。 1.約3年前 infinity IRS-OMEG ... 続きを見る 前回の記事で、私のinfinity歴にとって一つのゴールになるスピーカー「IRS-SIGMA」を入手した事をご紹介しました。 今回は、IRS-SIGMAを実際に鳴らしてみたレビューとアンプの検討経緯で ... 続きを見る
IRS-SIGMA 導入【オーディオシステム入替 その1】
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(第2話)アンプが非力過ぎてSIGMAがちゃんと鳴らない(想定の範囲内)。そこでアンプをRB-1592SEにレベルアップする事を決断。
IRS-SIGMA 設置 と アンプの検討【オーディオシステム入替 その2】
という事で、いよいよ第3話の今回はROTELの弩級パワーアンプ「RB-1592SE」を導入してIRS-SIGMAを鳴らしてみたレビューです。
■よほどのアンプじゃないと鳴らせないモンスタースピーカー「IRS-SIGMA」
■どんな鳴りづらいスピーカーでも鳴らしてしまう弩級アンプ「RB-1592SE」
という最強の矛と盾の対決を見るような組み合わせの音出しです(笑)
RB-1592SEはSIGMAを乗りこなすことが出来るのか!いや、乗りこなせなかったらホント泣けるんですが・・・。
1.RB-1592SE 外観
IRS-SIGMAを手なずける為にやってきたパワーアンプ「RB-1592SE」です。
いや、これがまた重たいのなんのって。重量が40kgあるんですが正直舐めてました。抱えるのが難しいサイズの鉄の塊ってこんなに重いんですね・・・。玄関からラックまで運ぶのが本当に大変でした(笑)
右下に付けられた「SpecialEdition」のプレート。徹底して音質が追求された証でもありますね。正直これがなかったら「SE」なのか分からない見た目です。
これまで活躍してくれた「RB-1582MK2」を重ねてみました。
背面。インターフェイスは基本的に変わっていません。入力はXLR(バランス)とRCA(アンバランス)。スピーカー端子は2セットあってバイワイヤに対応。
電源ケーブルも全然違います。下記はコンセントプラグ部と本体への接続部ですが、上がRB-1592SEで下がRB-1582MK2です。RB-1592SEはとても大きくてどっしりしてます。お店の方曰く「電源ケーブルもとても質が高い」との事でした。
2.音質レビュー
ドキドキしながら実際に音出しをしてみたところRB-1592SEは期待通りの音を出してくれました。それもイキナリです。
新規購入したアンプは最初の数時間はロクにならないもの。と思っていましたが、RB-1592SEはいきなりまともな音を出してくれたのです。RB-1582MK2とは全く格が違う事を一瞬で見せつけてくれました。これには正直ビックリ。
不安も多少はありましたが「RB-1592SE」ならやってくれるはず!と自信をもって投入したので、ホッと一安心といったところ。立て続けに下記の流れで機器を入れ替えましたので、それぞれの印象を比較してみます。
●OPPO HA-1 → RB-1582MK2 → IRS-OMEGA
●OPPO HA-1 → RB-1582MK2 → IRS-SIGMA
●OPPO HA-1 → RB-1592SE → IRS-SIGMA
■OPPO HA-1 → RB-1582MK2 → IRS-OMEGA
非常にまとまりのよい完成度の高い音を出してくれていました。高域から低域までどこにもムラがなくスピード感もあって心地いい。今でもこの組み合わせの音は満足度が高かったと思っています。ただ、時にスケールの小ささを感じるというか、音の広がりや迫力の不足を感じる音でもありました。ですがこれは私がその前にKappa9.2iを経験していたから(耳が慣らされていたから)出てくる特殊な不満であって、それがなければこれを終生の音としてゴールにしていたかもしれません。
■OPPO HA-1 → RB-1582MK2 → IRS-SIGMA
グレードアップを図るためにスピーカーをSIGMAに替えましたが、奥行きがない、音が詰まる、低域が出ない、ぎゅっと音が小さくまとまってしまう。という残念な音に。但し、OMEGAでは最後まで出せなかった低域をいとも簡単に出してしまい、その実力の高さを感じさせました。低域部分の響きはKAPPA9.2iからOMEGAに乗り換えたときに失われてしまった唯一の心残りだった為、この響きがSIGMAで復活出来る予兆を感じられたのは収穫。
SIGMAは明らかにアンプとのバランスが取れていないにも関わらず、この時点で既にOMEGAより低域の響きや中高域の美しさでは勝っていました。ただ、最終的にどちらの音楽が心地いいか。で言えば明らかにOMEGAだろう。という状態でした。
■OPPO HA-1 → RB-1592SE → IRS-SIGMA
そして、SIGMAのポテンシャルを発揮させるためにRB-1592SEを投入。打って変わって音に躍動感が生まれました。
低域は桁違いに沈み込み、響きと量感を併せ持ちながら、輪郭もしっかりしています。当然、RB-1582MK2の時に行っていた、SIGMA背面パネルでの帯域ブーストは全部フラット(標準)に戻しています。それでも、RB-1592SEの方が厚く深い低域となっています。
中域から高域もベールを脱いだように非常に美しく煌びやか。音全体が非常に広がりを持ち、上品で自然、雄大で艶めかしい。という据え置きオーディオの醍醐味を味わわせてくれる素晴らしいシステムになったと思います。OMEGAで完成されていた時の音域バランスと比較すると僅かにドンシャリです。これが機器の特性なのか、アンプの能力不足から起こっているのかは分かりません。今回いじっていないDAC部分の特徴もあるかもしれません。まずはしばらくアンプがこなれるのを見守っていきたいと思います。
※追記:ドンシャリ気味に聴こえたのはプレイヤー側の特性でした。PCで鳴らしているので違うプレイヤーソフトに変える事でボーカルの張りも艶も出ました。アンプを換えた事で特性に変化があった模様。
RB-1592SEが完全にIRS-SIGMAの潜在能力を発揮させてくれたか?それは分かりません。過去の様々な情報を嚙合わせるとIRS-SIGMAにはまだポテンシャルがあり、もっともっと弩級アンプによって能力を引き出せる気もします。ただ、今回の構成が私が今まで作ってきたオーディオ環境の中で「最も良い音を出してくれている」のは間違いありません。
3.最新構成の導入完了
ピュアオーディオな方々から見れば「スピーカーの間にテレビがある」のは邪道だという方もいるでしょうが、私は「ストイックに音質を追求するピュアオーディオ派」ではなく「音楽、映画、ゲームを最大限楽しみたいというエンタテイメント派」なので、下記のような環境で映画もゲームも良い音で楽しんでいます。
中心にある4K VIERA(55インチ)も私にとっては大切なエンターテイメントの友。
全体の構成は下記のような形になりました。従来と比べれば純粋に機器の入れ替えだけですね。
今回のシステムアップグレードは一旦ここで完了です。
RB-1582MK2でIRS-SIGMAを鳴らしたときに「スカスカで全く鳴ってないじゃない!」と呆れていた我が家の音のご意見番(奥さん)も「これはちゃんと鳴ってるね~」と評価してくれました。過去にもOMEGAが鳴らせてなかった頃や、RB-1582MK2を買って1時間程の酷い時には「この音がいいと思って聴いてるのか?!」と言われましたし、ワタシ以上に音に厳しい妻です(笑)
4.オーディオの難しさ
アンプとスピーカーの関係は単純に値段やスペックだけで分かるものではなく、様々な情報を基に「どう組み合わせるのが最適だろうか」と考える必要があります。今回のケースでも「スピーカーのグレードを上げれば必ず音が良くなるか?」というとそんなに単純なものではありませんでした。しかしながら上手くポテンシャルを引き出してやればちゃんとグレードに見合った音になっていきます。ここが難しくもあり、面白くもあるところですね。据え置きオーディオは気軽に組合せや相性を試せないので丁寧な吟味と推測が必要になりますが、その分、上手く狙いとマッチした時の喜びはひとしおだと思います。
また、オーディオは半分が「環境」で決まる。と言う方もいます。部屋の大きさ、セッティング、視聴位置、など。音は反響しやすいのか、吸収されるのか、そういった事でも届く音は変わります。そんな視聴部屋という意味では我が家は全く褒められたものではないでしょう。狭い部屋に場違いなサイズのスピーカーを放り込み無理やり鳴らしている。という状況です。例えば私の視聴環境だとセオリーとしてはinfinityのようなフロア型の大型スピーカーより、小ぶりなブックシェルフやトールボーイの方が向いていると思います。そう思って過去にも評価の高い他社トールボーイを設置したこともあります。ですが実際の音はinfinityの雄大さとは比べ物にならない貧弱なものでした。正直SIGMAも、ボーカルが耳の位置よりやや高いところから聴こえます。本来は耳の高さに合わせるべきでしょう。OMEGAは丁度良い高さでした。ここでもSIGMAはセオリーに合いません。でも、私が「良い音だ」と思うものに近づいているならそれで私にとっては正解です。セオリーは参考になりますが、やってみて音が好みに近づかないなら採用する必要はありません。そういう事もひっくるめての「環境」だと思います。
もちろん視聴環境が音に影響を与えているという事は理解した上で、自分が求める音を追っていくのがオーディオの楽しみだと思います。
IRS-SIGMA スペック
・方式 4ウェイ・5スピーカー・密閉方式・フロア型
・使用ユニット 低域用:30cmコーン型
・中低域用:16cmコーン型
・中域用:特殊型(HE-EMIM)
・高域用(前面):特殊型(HE-EMIT)
・高域用(後面): 特殊型(HE-EMIT)
・インピーダンス 4Ω
・周波数特性 30Hz~42kHz ±2dB
・クロスオーバー周波数 160Hz、600Hz、3.8kHz
・感度 87dB(1m/2.83V)
・推奨アンプ出力 100W~500W/channel
・外形寸法 幅460×高さ1,490×奥行440mm
・重量 67.0kg(梱包時82kg)
http://audio-heritage.jp/INFINITY/speaker/irs-sigma.html
RB-1592SE スペック
・定格出力 8Ω時 380W+380W(20-20,000Hz,0.03%THD,8Ω)4Ω時700W+700W
・全高調波歪率 0.03%以下(20-20,000Hz,定格出力時)
・混変調歪律 0.03%(60Hz:7,000Hz=4:1,定格出力時)
・ピーク電流 270A
・ダンピングファクター 1000(20-20,000Hz、8Ω)
・入力感度/インピーダンス 2.6V/12kΩ
・周波数特性 10-100kHz(±1dB)
・S/N比 125dB
・消費電力 800W
・外形寸法 431(幅)×238(高さ)×410(奥行)mm
・重量 40kg
※公式カタログ/マニュアルより