先日韓国で発売された折り畳みスマホ Galaxy Fold に興味津々な かえるむ です。
https://www.samsungmobilepress.com/resources/galaxy_fold/videos
折り畳みスマホとしての楽しさは既にあちこちでレポートサイトや動画なんかで上がっていますので幾つか見て頂いても良いと思います。
例えば・・・
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また折り畳んだ状態でもゲームが出来て、開くとミニタブレットサイズで遊べる体験も素晴らしい。
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もちろんそのギミックにもガジェット好きとしてはワクワクが止まらないんですが、基本スペックの充実度、絶妙なサイズバランスなど調べれば調べる程考え抜かれた設計に驚きしかありませんでした。
ほとんどのネット情報ではここに触れられていませんので、私が驚いたその基本デザインについて紹介してみます。
基本スペックの充実度
イロモノ、キワモノの類にイメージされるFoldですが、実はそのスペックを見てみると驚くほど堅実でした。
同じGalaxyファミリーのNote10+、S10+、あと今私が使っているNote9と比較してみましょう。
ストレージこそS10+は1TBモデルがありますが、能力としてはFoldは今のGalaxyシリーズのフラグシップ機と同じということです。
次にディスプレイを見てみます。
Foldには2つのディスプレイがありますが、メインディスプレイがDynamic AMOLEDなのはもちろんの事、おまけのようなサブディスプレイでもNote 9相当のSuper AMOLEDが採用されているのは凄いですね。
サブといっても4.6インチあります。iPhone8相当(4.7インチ)のディスプレイサイズがサブで用意されています。iPhone8が1334×750(326ppi)ですから、iPhone8よりも高精細なサブディスプレイを搭載していて、スマホとしてフル機能で使えるんですから折り畳んだ状態で既にコンパクトなスマホ状態です。
肝心のメインディスプレイは362ppiと、今最新のメインを張るには少し物足りないところもありますが、大満足とは言えないまでも必要十分かな?と予想。早く実物を見てみたいところです。このメインディスプレイの解像度については後述したいと思います。
最近のGalaxyでは搭載されているリバースワイヤレスチャージにも対応してますし、何とFoldには完全ワイヤレスイヤホンのGalaxy Budsが標準添付されています。
次にカメラ性能を見てみます。
こちらもメインカメラはFold、S10+、Note10+と全く同じです。
最近はサブ側(自撮り側)でもライブフォーカスが出来るのがトレンドですね。なんとFoldは3か所にカメラがあるという変態仕様です。正直個人的には要りません。
最近出たiPhone11Proでは超広角カメラが話題ですが
iPhone 11 Proの超広角レンズが 12MP/f2.4/120°なのに対し、Galaxyは 16MP/f2.2/123°ですから、より高精細、より明るく、より広角です。
Foldは折り畳みという特殊なモデルでありながら、トップレベルのカメラ機能も押さえているという事ですね。DXOMARKで採点されても110点前後に評されても良いクオリティだと思います。
ざっと見るに、FoldはS10+の機能や能力を完全にトレースしていますので中にS10+が入っている。と考えてもいい事になります。これがまず驚いた点。
絶妙なサイズバランス
同じく折り畳みスマホと言えば先行しているFlex Paiや、これから出てくるHuaweiのMateXがあります。タブレットの参考としてiPad miniも含めて比較するとこんな感じになります。
実は、折り畳みスマホ系の中で一番コンパクトなのがFoldなんですよね。
じゃ、大型スマホと比較するとどうでしょうか。
大型スマホの中に置いても、そんなに違和感のないレベルがFoldです。
これを「ほどよいサイズ」と見るか、「中途半端なサイズ」と見るか、ですがコンテンツを利用した時にどうなるかをシミュレーションしてみました。
1.16:9の動画を再生した場合
iPhone11 Pro MAXは左右に黒帯が出てしまいますので幅を目いっぱい使えていません。
一方、Fold、Mate X、iPad miniは横幅を最大限使えているので大きく表示が出来ますね。逆に上下に黒帯が出る比率になります。
この3モデルは画面の横に使える幅がほとんど変わらないので、デバイスの大きさは違うのに、体験できる動画のサイズはほぼ一緒になるのです。つまりFoldは動画と本体サイズのバランスに最も無駄がないと言えます。
2.電子書籍を見た場合
縦読み
見開き読み
ご覧のとおり、16:9の時と同じでFoldは電子書籍のアスペクト比に絶妙なまでにフィットします。よって、可能な限り最も小さく、そして他の大きなデバイスに引けを取らないサイズで閲覧が出来る。という事です。このアスペクト比とバランスは神がかり的に素晴らしいと思います。Samsungが利用用途をしっかりと考えた上でデザインしていることが分かります。
また折り畳んだ時の横幅は62.8mとてもコンパクトで握りやすい幅。正直Note9の76.4mmは片手で持つのに限界ギリギリだと思ってたんですよ。Foldなら片手持ちの時は余裕の握りやすさ、立ち止まったり座ったりしているときは開いて117.9mm。この使い分けはいいですよね。
折り畳んだ時に2枚分以上の分厚さ(17.1mm)になるのが気になる人もいるかもしれませんが、私的にはこの幅と厚みの持ちやすさが凄く心地いいんじゃないかと予想しています。
中には「折り畳む意味はあるのか?」「タブレットと2台持ちでいいじゃないか」なんて言う人もいますがそうじゃないんです。タブレットを持ち歩くなら恐らくカバンに入れますし、しょっちゅう取り出さなくなります。そうするとスマホ9割、タブレット1割といった利用頻度になっちゃいます。それからデバイス2台の中身を整理して使い分けるのも大変です。電子書籍はタブレット、SNSはスマホとか使い分ける事になりますし手軽に行き来も出来ません。
それが一つのガジェットとしてポケットに入る。いつでもさっと取り出せる。全部がまとまってる。そこに意味があるんです。
カメラ画質に拘るならデジカメと2台持ちにすればいい。なんてツッコミはナンセンスですよね?ほとんどの人はデジカメをポケットに入れて持ち歩きませんから。ポケットに入るものでどこまで広がりがあるか。がモバイルテクノロジーの一つの在り方でしょう。
ディスプレイ、重さ、バッテリーのバランス
また、Foldのデザインバランスは他の部分を見ても感心させられます。
Foldの解像度は 2152×1536(362ppi)
Mate X は 2480×2200(414ppi)
Flex Pai は 1920×1440.(308ppi)
Note10+やS10+は500ppiレベル、iPhone 11 Pro MAXが458ppiという事を考えればFoldの362ppiはやや劣る印象です。とはいえ、iPhone 11やiPad miniが326ppiという事を考えれば、それらよりは高精細なので不足というほどでもないでしょう。
解像度を上げる程バッテリーの消耗は激しくなりますので、美しく見えるほど良い落としどころを選んだと考えられます。
次にバッテリーは4,380mAh。S10+やNote10+よりもやや多めに積んでいます。7.3インチ+サブディスプレイを動かすためにバッテリー容量は大きい方がいいですよね。
そして重さは276g。iPhone 11 Pro MAXでさえ226gですから、やっぱり重め。でも、Mate Xは295g、Flexxha Pai は320g、iPad miniは300.5gですから折り畳み陣営の中では軽量です。
解像度を上げるとバッテリー消耗が激しくなる、バッテリー容量を増やすと重くなるというジレンマがありますから、7.3インチ×362ppi×4,380mAh×276gというのは私の中では他機種のどれと比較しても一番理に叶ったバランスで仕上げていると感じるのです。
どこかで欲張るとどこかにしわ寄せが来ます。重さが300g超えになってくると完全にタブレット級ですし、ppiを300程度にまで落とすとさすがに粗い。このあたりは実用性、携帯性を考えたギリギリのスペック判断が行われたのでは?と思います。そして、16:9動画や電子書籍を限界まで大きく表示させ、大型モデルに引けを取らない体験をしてもらう。という点で、今出来うる最大限に計算されたデザインじゃないでしょうか。
Mate Xとの比較点
やっぱり折り畳みスマホとして比較すべきはFold vs Mate Xですが、実は発表された時点ではGalaxy FoldよりもMate Xに惹かれていました。
開き方
私の中で折り畳みをイメージする時に「普段はスマホ、そのま開くとタブレット」というものを想像していましたので、山折り(外開き)のMate Xはまさにイメージ通りだったからです。Foldは谷折り(内開き)のせいで、余計なサブディスプレイを搭載しなければいけなくなり重量的にも構造的にも損しているようにしか感じませんでした。
但し、折り畳みはディスプレイ構造がガラスではなく柔らかい上に保護シートがつけにくいので、外にむき出しだと傷が心配です。普段は内側に折り畳まれているFoldの方がその点では安心。また、片手で持ったまま閉じてポケットにしまう動作などもFoldの方が自然だと思います。要するにFoldは手帳型のケースでスマホを使っているのと同じ感覚で使えるという事ですね。
デザイン
・開いたときに厚みが均一になるFold。でも畳んだ時に隙間ができて不細工。内側にノッチがあるのもダサくて嫌。
・開いたときに厚みが均一じゃないのがMateX。でも畳むと綺麗なスマホ形状。開いたときにノッチもなく美しい。
デザインの完成度としてはMate Xの方がきれいだと思いますね。サブディスプレイを付けずにハイブリッド運用出来ているのも無駄のない構造だと思います。先ほどの開き方の方式の違いを見ても、構造的な辻褄はMate Xが合っていて、利用シーンとしての辻褄はFoldの方が合っている印象です。
基本性能
Mate XはKirin980/8GB/512GB。ごく標準的なフラグシップ仕様ですね。ここはSD855/12GB/512GBのFoldが上回っています。バッテリーこそMateX(4500mAh)とFold(4380mAh)をわずかに上回っていますが、おそらく解像度との兼ね合いを考えるとパフォーマンスはFoldの方が高いと思います。
解像度
次に画面サイズと解像度。こちらはMate Xは素晴らしいです。
Fold 7.3インチ 2152×1536(362ppi)
Mate X 8インチ 2480×2200(414ppi)
高精細でいいですね。でもOLEDの性能はFoldの方が上かも?
畳んで使う時にもFoldは4.6インチなのに対し、Mate Xは6.6インチ!もはや折り畳んだ状態で十分なのでは?!と感じます。ここまでくると、実はほとんどの事が折り畳んだ状態で出来てしまい滅多に開かなくなるんじゃないか?なんていう逆の心配さえ生まれます。負け惜しみのようですがFoldの4.6インチはフル利用には物足りないところがまた絶妙なのかもしれません。
本体サイズ
Fold 160.9×117.9×7.6 (折り畳み時 160.9×62.8×17.1) 276g
Mate X 161.3×146.2×5.4 (折り畳み時 161.3×78.3×11) 295g
縦はほとんど同じですが何と言っても横幅が全然違います。Foldの場合開いた状態でも男性なら握れるかもしれませんが、さすがにMateXを開いたときに片手で握るのはギリギリいっぱいじゃないでしょうか。また、重さも20g違います。たかが20gかもしれませんが、例えば180gのスマホと200gのスマホでは体感は結構違うものです。ここも差になりそうですね。
カメラ
Mate XはさすがHUAWEIというところで40MPレンズを搭載しています。とはいえこの2メーカーはスマホカメラの中でも2強ですから甲乙つけがたい感じだと予想してます。多分どちらもスマホでのフラグシップ機と同レベルのカメラ画質を実現しているでしょう。
サイズ、性能、方式など色々違いがありますが、私の好みとしては閉じるとスマホ、開くとタブレットというMate Xのコンセプトは大歓迎なものの、実際に傷の心配を考えたり、実用レベルのサイズ感、使用感などを考えると徐々にFoldに傾いてきたという感じでした。
そして、何よりFoldがいいだろう。と感じたのはソフトウェア部分の作りこみです。ここはSamsung、HUAWEI両方のスマホを見てきた中で、大画面の活かし方がSamsungは抜群に上手いと感じています。
Galaxyだから期待できるソフトウェア部分
私はGalaxyはS8+、Note9と使ってきていますが、とにかくソフトウェア部分の作りこみが凄いんです。マルチディスプレイ、フローティングウインドウ、サイドメニューなど大画面をとにかく上手く活かしてマルチタスクやマルチビューを実現してくれます。
今回のGalaxy Foldでも3つのアプリケーションを同時起動し、入れ替えたりフローティングにしたり、と大画面を上手く活用する工夫がされています。
この辺りはFlex PaiやMate Xではほとんど追随できないんじゃないでしょうか。iPad(というかiOS全般)もそのあたりには無頓着です。Galaxy以外の端末はただ単に画面が大きい。というだけに留まる気がします。
もちろんコンテンツ表示が大きく広範囲になる事も有用ですが、更に大きい画面を活用した機能に拘っているGalaxyシリーズこそ折り畳みスマホにピッタリです。そしてこれだけのマルチタスクだとメモリも余裕を持たせたいので本機ではメモリを12GB積んでいます。この辺りのバランスも取れています。
これまでのGalaxyNoteやSシリーズでも最大限大画面を活用してきました。でも6.4インチクラスではマルチタスクにはちょっと狭く、無理している部分もありました。かといってこれ以上画面を大きくするとスマホとして持ちづらくなってしまう。というジレンマに行き当たっていました。
そのジレンマを解消するには、コンパクトさと画面の広さを両立する「折り畳みスマホ」しかなかったと思います。Galaxyだからこそ折り畳みスマホに行き着いた必然性が分かりますし、折り畳みにチャレンジする意味があります。
今後期待したい点
期待度の高いSamsungの折り畳みですが、そうは言っても初号機ですからチャレンジャブルなところが多く、まだまだ今後の向上を期待したい点はあります。
・内側のノッチカメラは不要
これ一番の疑問です。メインカメラとサブカメラは既に付いていて自撮りも出来るのに、開いた状態の右上に大きなノッチ式カメラがまた付いています。これがなければほぼベゼルレスと言えるのにとても残念です。開いた大きな画面での自撮りを想定しているのでしょうが、正直それに対して犠牲が大きすぎます。
第2世代では内側はベゼルレスデザインにして欲しいですね。
・更なるバランスの向上
これはワガママな点ですが、もう一歩解像感が上がり、もう一歩軽くなれば言う事なしですね。
目標は450ppi、230g、5000mAhバッテリーあたりまで目指してほしいところです。
・サブディスプレイのサイズUP
折り畳んだ状態のサブディスプレイは4.6インチ(1680×7200)です。本体の縦の長さに対してやや小さくまとまっています。もちろんこ横幅はこれ以上広がりませんし、開いた状態のサイズはこれがベストでしょうから、縦長に伸ばすしかないんですが可能であれば頑張って欲しいところですね。
・microSD
まだレポート的に情報が見つからないんですが、どうやらmicroSDスロットがないように思います。SDスロットを搭載しないならストレージは1TBにして欲しかったところですねー。せっかくの大画面なので大量の動画や書籍データを突っ込みたいところです。
・Sペン対応
大画面とペンの相性は言うまでもありません。絶対対応すべきです。
でも、多分折り畳みに対応させるために硬質なガラスではなく少し柔らかい材質になっていることから
ペンを使うと跡が残り、傷がつく懸念があると思います。ここは技術的に乗り越えられるか・・・ですが、やっぱり期待したい!
・価格
これはしょうがない。1980ドル(約21万円)というのはスマホとしては相当高価な部類です。15万円くらいまで頑張れれば最高ですね。
ただ、iPhone 11 Pro MAXでも16万円くらいしますし、Mate Xは28万円ほどすると言われます。
10万円を超えるGalaxy S10+を中に丸々内包した上に、1.7万円ほどする完全ワイヤレスイヤホンのGalaxy Budsを標準添付し、更にiPad miniサイズのコンテンツ体験ができてそれをポケットに入れて持ち運べるんですから、この価格もギリギリ納得できます。
今は発売後品薄なのでプレミア価格になっていますが、待ちきれない気持ちはよく分かります。ガジェット好きには溜まらない端末だと思います。
でも・・・それでもやっぱりサクッと手を出すには躊躇する値段ですよね・・・
・耐久性
最後にやっぱり耐久性でしょうか。実際数か月、1年と使ってどんな感じになるのか心配がないと言えばウソになります。
Samsungからもディスプレイを強く押さえつけない、水や埃に近づけない、といった注意がされています。ポケットに入れて持ち歩きますから多少のホコリはどうしても入ると思います。どのくらいの耐久性があるのか実際に使ってみないと分かりませんね。
それでもガジェット好きとしてはチャレンジに躊躇はしませんが、耐久性向上は是非継続して頂きたいところです。
まとめ
Note10+に買い替えるか迷ってましたし、正直ペンを捨てるのは避けたいと思っていました。ペンを捨てるくらいならほかのどのスマホにも移る気はないとさえ。
でも、Foldには正直やられました。使用している自分を想像するだけでワクワクします。ペンを捨ててでも欲しいと思えた唯一のデバイスがやっぱりGalaxyシリーズだったのは何ともさすがGalaxyという感じですね。ほかの機種はもう新しいチャレンジや体験を放棄してカメラカメラばかり言っています。そのカメラですら
DXOMARK の№1をGalaxyNote10+に取られている(2019年9月21日現在)んですから、Galaxy以外を選ぶ理由が本当にありません。今はもうNote10+ vs Fold が私の中でのスマホ頂点対決になっています。
いつ手に入るか分からないけど絶対手に入れるぞ!!!!