前回の記事でX45という尖った存在のプレイヤーを導入するに至った経緯、そしてなぜか前モデルのCA-X40も入手してしまった。という話をご紹介しました。
今回は、それぞれのご紹介と実際に導入して音の評価をしてみたいと思います。
CA-X40:外観~セッティング
まずは先に入手したCA-X40から。外観はこんな感じです。左右の大きなダイヤル。中央左のCDスロット、右の大型液晶、そして多機能リモコンなんかが特徴的ですね。標準、USBなど端子類も揃っています。
続いて背面。アナログはRCA、XLR出力に対応し、デジタルin/outも充実。USB、LANケーブルなどの接続と、珍しいのはHDMI端子じゃないでしょうか。映像だけディスプレイに外出しする事が出来ます。電源ケーブルは交換可能なのでここで遊ぶことも出来ますね。
右下部分にストレージスロットがあります。自由にストレージを交換出来るのは便利ですよね。容量UPさせたりする時も非常に楽です。
今回はウェスタンデジタルのHDD Blueを選択
まさにPCパーツを触っているのと同じ感覚でスロットケースに装着。ガチャンと入てネジを締めればれば完成です。
高機能リモコンが付いているのも良いですね。全ての操作がリモコンから遠隔で可能です(といっても普段はスマホからの操作になりますが)
最初に電源を入れた時はまずファームアップから始めましょう。大型液晶に表示されるファームアップメッセージ。まさにパソコン。
CA-X40:音出しチェック
構成は次の通りとなりました。
サーバー&プレイヤー(DAC) CA-X40
コントロールアンプ LUXMAN C-800f
パワーアンプ ROTEL RB-1592SE×2台(高域/低域)
色々普段試聴で使っている音源で聴いてみました。
従来の「DELA&Supremo」からの傾向の変化としては一長一短
良くなった点
- 質感がより生っぽくなった
- 解像感が高まった
残念な点
- 艶が減った
- ボーカルの滑らかさが減少した
我が家でこれまで追い求めてきた音はとにかく「美音」。滑らかでとろける様な音がみんな好きでした。ただ一方、音のリアリティよりもややエフェクトが掛かったような甘さに振れていたところもあります。
それがCA-X40によって一気に引き締まったというか「生っぽい音ってこうだよね?」を体現してくれます。例えば、ドラムの乾いた音、パンっ!タンっ!という乾き音は本当にリアリティがあります。以前のSupremoの時はそのような音ですら「タァーン!・・・」と余韻を残すような音作りだったので、このスピード感、タイトな雰囲気の変化は魅力です。一方、響きが少し減少した事で感情表現がやや希薄になったのが残念なところ。
液晶画面には再生しているアルバム表示をしたり、色んな情報が出せますし、同じ情報はHDMIで出力したテレビやスマホでも確認できるので情報確認や操作性は非常に高くなったと思います。
私個人の評価としては一長一短。前の方が好きだった音もあれば、今回の音でぐっと生々しさが増して良くなった音源もある。という感覚です。そして色々利便性が増して、楽に音楽が聴けるようになったのでこれはアリな集約になった。という納得の結論です。
ただ、家族からすると従来の「艶っぽい音」が、やや淡白な傾向に変化したように聴こえたようです。娘も奥さんも「前の方が好きだった?かも?」という評価でした。ちょっと残念・・・。
以前のSupremoがかなり個性のあるDACだっただけに、今回の変化でやや普通の音に近づいたことが評価の分かれ目だと思いますが、従来からの傾向変化(好み)を考えなければ非常に上質でレベルの高い音を出しているのは間違いないと思います。機能面、操作性など総合力で見ればこれは本当に良いプレイヤーですね。
X45:外観~セッティング
では次に、その後入手したX45を見ていきましょう。ぱっと見はCA-X40と似ていますよね。
背面もあまり変わっていませんが、USBやデジタル入力など単体DACとして使うための端子が増えています。オールインワンだったCA-X40から更に拡張されているところですね。
CA-X40ではHDDを利用しましたがX45ではSSD。
電源ケーブルは付属のものを使っても良かったんですがSupremoで使っていたオヤイデ TUNAMI GPX V2を使う事にしました。
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新旧外観比較
せっかくなので外観上の違いを見てみましょう。
まずはボリューム周りです。左:CA-X40 右:X45
質感はほとんど変わりませんがメーカーロゴの部分に「X45」というモデル名が入りました。各ボタンのフォントはスマートになり、ボリュームや電源ボタンは周囲を彫り込んだ高級感ある加工が施されました。
やや引きでCDスロット部を見てみましょう。左:CA-X40 右:X45
これは全く一緒ですね。イジェクトボタンの位置が左に寄りました。
では右端のボタン部を見てみましょう。 左:CA-X40 右:X45
先ほどと周囲に加工が施され、ボタンもフラットになり、フォントも変わっています。好みかもしれませんがX45の方がルックス的には良くなっていると思います。
最後に液晶パネルです。これはもう一見して大きさの違いが顕著ですよね。メニューデザインも変わっています。
CA-X40でも大きなディスプレイだと思っていましたが、X45は更に大型化しました。これによって表示される情報量が全く異なります。1画面に表示できる曲数も、1行の文字数も大きく拡張されて曲情報が分かりやすくなりました。
アルバム画像が入った状態でも大きな差です。これは分かりやすい進化点ですね。
X45:肝心の音質は?
CA-X40とX45の違いはディスプレイや外観だけではありません。電源部も強化され、DACチップはCA-X40ではES9018K2M1基だったのがX45ではデュアル化されています。この辺りが音質をどう向上させているか?深みが増したのだろうか?が興味深い点ですよね。
実際に全く同じ曲で切り替えながら聴き比べてみました。
DACチップがデュアルになった効果はいかほどか?!ほか電源含め更に音質強化が図られた違いはいかほどか?!
・・・一緒でした・・・
一緒です。もう全く一緒。音が良くなった。という感じがしません。しかもストレージもHDDとSSDの違いがあるはずなのに。
違いが全くないか?と言われたら、何となく違う。X45の方がやや音場が広がったように聴こえる曲もありますが、全く変わらない曲もあります。家族にもブラインドで聴かせて切り替えながら評価してもらいましたが、有意な差はなく今鳴っている音源はどっちの機器か?すら明確に当てる事が出来ませんでした。
これ「HDDとSSDで音が変わった。HDDは肉厚で、SSDは高解像だ」と言う人は本当にブラインドで聴き分けられてるんでしょうか・・・。もちろん他の環境が変わればまた違いが分かったりするのかもしれませんが、私の場合ブラインドでは全く機種を言い当てる事が出来ませんでした。
繰り返しますが「全く同じ音が鳴っているか?」と言われれば、何となく両機で違いを感じる音源もありました。でもX45だからこういう傾向という明確な特徴がある訳ではなく、この曲は先に聴いた方が音に広がりを感じるよね。次の曲は後で聴いた方が低域が厚い気がするよね。というように何となくの違いを感じるかどうか。という程度にとどまりました。
とはいえ、以前の「DELA&Supremo」とはまるで違う音になっています。サーバーとDACを変える事で音は変わります。でもカクテルオーディオの2機種間ではほぼ音は変わらなかったというのが結論です。
ですから音質UPを狙ってこの2機種間で入れ替えを行う必要はないと思います。
但し、操作性、レスポンスは段違いでX45が上です。メニューの切り替え、曲のカーソル移動などもっさりなCA-X40に対して、X45はキビキビ動きます。よってどちらも入手できる機会があるならそれはもうX45一択だと思う訳です。
CA-X40 | X45 | |
---|---|---|
デザイン | やや無骨 | 比較的スマート |
ディスプレイ | 小さい(ベゼル部も厚い) | 大きい |
仕様 | DAC1基 | デュアルDAC&電源部など強化 |
操作性 | もっさり | キビキビ |
価格 | 48万円 | 40万円 |
こう見るとX45は確実に強化が図られていて、且つ8万円安くなったというのは非常に頑張っていますね(2022年2月までは38万円)。でもせっかく仕様的に強化されても「音」そのものがほとんど変わっていないのはちょっぴり残念でした。いや、私と家族がその良さを聴き分けられなかっただけかもしれませんが・・・。
でも今から買うなら安心してX45を選んで頂ければと思います。前モデルから僅か数年で価格を8万円抑えたにも関わらず、音質は落とさず機能性は上がってMQAやRoonReadyにも対応してきているので確実な進化だと思います。我が家でもX45を残してCA-X40は売却する事にしました。
ちょっと回り道でしたがこの2台を自宅環境で比較試聴出来たのは良い経験でした。
CA-X40にせよX45にせよ音の傾向としては「生っぽさ」重視でエフェクトの掛かったライブ感はなく楽器の素の音を聴かせてくれるタイプ。かといってカリカリに研ぎ澄ませた感じでもないので、非常に素直で癖のない音だと思いました。
最上級の音を狙って買う機器というよりは、まず利便性、オールインワンの快適さの上で音も妥協せず聴ける。そんなサーバー兼プレイヤーが本機の魅力だと思います。