ここ半年くらいで見直してきたオーディオ環境ですがいよいよ大詰めという事で今回は上流の要、DACとプリアンプの見直しを図りました。
その1の今回はプリアンプ ROTEL RC-1580 です。
●きっかけ
既存の環境は下記の流れになっています。
PC→OPPO HA-1(DACプリ)→RB-1592SE(パワー)→IRS-SIGMA(スピーカー)
この1年でパワーアンプとスピーカーを入れ替え、一旦この2つはアガリとして考えています。今回手を付けたのは上流のDACプリ部分「OPPO HA-1」です。といっても、HA-1も2015年4月に購入したばかりでまだ10か月しか使用していません。それでもここの入れ替えを考えたのは2つ理由があります。
理由1)
音のクオリティとしては以前の「HA-1→RB-1582MK2(以前のパワーアンプ)→IRS-OMEGA(以前のスピーカー)」環境の完成度が非常に高く、いまだに音のバランス面では脳内リファレンスになっています。もちろん今の方が全体のクオリティは高くなっていて、各音域の質感、力強さなどは大幅にアップしました。ただ比較してわずかに中域あたりがゴチャつく感じがします。これはソースにも依るので優れたソースであれば感じませんし、以前と比較してという事なので些細な部分なのですが、次のステップアップとして考えるなら「曲によって感じるゴチャつきをスッキリさせたい」というのが改善ポイントとなります。
どこをいじるか。という事で、以前の環境から手を付けていない「HA-1」の入れ替えに目を付けました。
理由2)
DACプリのHA-1はとても優秀だと感じていますが所詮複合機。DACとプリアンプとヘッドホンアンプの合体機なので、どれか一つでも物足りなくなると全とっかえが必要になるというリスキーな存在です。ですから将来的なグレードアップを見据えるなら早い段階でバラしておきたい思いがありました。特にDAC部分はデジタル規格に左右されますので、アンプなどと複合型だと買い替えしづらくなってしまいます。DACはDACで単体化して今後も入れ替えやすくし、一方で純粋なプリアンプを別途用意する方向で考えたかったのです。
●検討
今の環境で音の傾向は満足しており、音のゴチャつきを解消したい。という狙いですから、あまり色付けしないプリを選びたいと思いました。
究極的には、音作りはDACに任せてしまい、プリアンプはパッシブ型(電源を利用せず、音量調整機能に徹する)が良いのではないか?とも考えました。
オーディオデザイン社のパッシブプリなどとにかくスッキリシャッキリしているような印象でしたし、同社が作ったプリアンプDCP-210やDCP-110にも興味が沸きました。
オーディオデザイン プリアンプ DCP-210
サイズは小さいながら2重アッテネータ方式の音量調節でとにかく鮮度の高い音が鳴りそうなプリアンプ。
オーディオデザイン プリアンプ DCP-110
通常のボリューム方式ですが、サイズもフルサイズになりプリアンプとしてバランスが良さそうです。価格も安くなっていますが音質ではDCP-210に引けを取らないとか。
ともかく実際に聴いてみたい!と思ったのですが、これがなかなか実機がなく、逆にパッシブプリの方を聴くことができました。
実際聴いた音は想像以上にスッキリしすぎていました(笑)
音の重心が高く、確かに綺麗なんですが細くてドッシリ感のない音。目的と近い方向ではあるんですが、ちょっと細くなりすぎるかなぁ。と不安になりました。
他にも、いろいろなプリアンプを調べてみましたが、程よい価格でシンプルなものがなかなか見つかりません。そして結局行きついたのはパワーアンプの時と全く同じ「困ったときはROTELに戻ろう!」です(笑)
●ROTELのプリアンプ
既にROTEL社のパワーアンプを2台経験しているので、私のROTEL製品への信頼は非常に厚いですし、同社プリアンプも過去にパワーアンプを検討する際の試聴機としてセットで聴いてきましたので、変な音は出さない。という事は十分理解していました。
あとは、最新スペシャルモデル「RC-1580MK2S」か並行して現行モデルである「RC-1580MK2」かという選択です。ただ、今回はDACも買わないといけませんので正直予算的には抑えたい思いもあります。そこで目を付けたのが、前の世代であるノーマル「RC-1580」です。
実際に「RC-1580MK2S」と「RC-1580MK2」を比較試聴したところ、少しMK2Sのほうが豊かで深い音がしました。MK2の方がスッキリしている印象。ですがそれでもオーディオデザインのパッシブと比べれば豊かさ、厚みがあるとてもバランスの良い音だと感じました。どちらのクオリティが高いか。で言えばMK2Sですが、今回求める傾向も加味すればMK2が劣っているとも言えない音です。肝心のノーマル1580は聴くことは出来ませんでしたが、ノーマルの音はMK2にかなり近いとの事。(実際ノーマル1580にバランス端子を加えて、少し見直しが図られたのがMK2ですから確かに似ているだろうと予想しました)
という事で、ノーマルRC-1580がリーズナブルに手に入れば一番お得だろう。と考え、今回は予算との兼ね合いも考えて完売品ではありますが敢えて「RC-1580」を導入することにしました。
●RC-1580導入
手に入れた「RC-1580」がこちら。実は正面からのデザインはMK2と全く一緒。MK2Sと比較しても右上にプレートが貼ってあるかどうかの違いですから、所有した印象としては現行の1580シリーズを手に入れた満足感があります。
背面はごらんのとおりバランス端子がなく全てアンバランス接続となります。緑色のキャップ部分はTAPE2端子ですがここだけバイパス(プリアンプのボリュームを無視する)接続になりますので、音量調節の出来ない機器を繋いでしまうと大変なことになります。英語のマニュアルに記載がありますが割と危険・・・。
(従来)HA-1→→→→→→RB-1592SE→IRS-SIGMA
(今回)HA-1→RC-1580→RB-1592SE→IRS-SIGMA
これまではHA-1をDAC&プリ機能として利用していましたが、HA-1をDAC機能だけにしてボリュームをバイパスし、プリ部分をRC-1580に任せる接続に変えました。これにより今までよりも低域に豊かさと深みが出てきました。少し暖かい音になったイメージです。ですが全体の解像感が落ちる訳ではなくそのままHA-1の良さを引き出してくれている感じです。RC-1580を噛ませた方が音楽の質が底上げされたような印象を受けますね。
残念ながらこの組み合わせだけでゴチャ感の解消には至っていませんが、良い方向に音が変化したことは間違いありません。
正直なところ、余計な機器を増やせば増やすほど音は劣化するともいわれ、世間ではプリアンプ不要論も出たりしていますがROTEL社のプリアンプについては、上流の良さをそのまま伝えながら、駆動力を増して音の深みを増幅してくれる印象で、音に与える影響が心地いいと感じます。
今回はHA-1(DACプリ)のプリ部分を切り出してみましたが、次回はいよいよDAC部分も入れ替えて完全セパレート化したいと思います。