先日、アフロオーディオさんにお邪魔して3種類のスピーカーを試聴させて頂きました。もう今では販売されていない中古品を聴ける場所ってほとんどないのでとても貴重です。
こちらがアフロオーディオさんの倉庫です。ここに中古のオーディオ機器が大量に置かれています。
一歩中に入るとまさにそこは倉庫な雰囲気
3セットのスピーカーを試聴
アフロオーディオさんでは予約しておけば3セットまでスピーカーを試聴させてくれます。事前にセッティングしておいて頂けるので到着したらすぐ聴けるんですよ。
今回試聴させていただいたのは次の3セット
1.ウィルソンオーディオ(WILSON AUDIO)System 6 定価352万円
2.ジョセフオーディオ(JOSEPH AUDIO)RM55LE 定価283.5万円
3.ソナスファベール(Sonus Faber)Cremona 定価120万円
それぞれ一癖も二癖もある名機たち。隣に並べて同じ音源で比較できる事なんてまずないですよね。
System6やCremonaは超が付くほどの往年のメジャースピーカーですが個人的に一番興味があったのはジョセフオーディオです。日本ではそれほど知られていない?のかな?と思いますが、その製品コンセプトに興味津々でした。
特徴はインフィナイトスロープというクロスオーバー技術で、普通ユニット間のクロスオーバーは余裕を持たせて重複していますがジョセフオーディオは限りなくこの重複を排除し急角度のクロスオーバーを実現。これによって各ユニットの受け持ち幅が明確になり、雑味のない透明感溢れる音を実現しているとか。またメタルコーンによりウーファーに至るまでハイスピードで高解像な音を聴かせてくれるそうです。
めちゃくちゃクリアな音を期待させますよね。
上流は下記がセットされていました。この辺りもアフロオーディオさんが現在庫として販売されている中古品が選ばれているので必ずしも指定の構成で聴けるとは限りませんね。
CD Player ESOTERIC K-03X
プリメインアンプ Accuphase E-406
ちょっとCD、スピーカーに対してアンプが非力な気がしますがアキュフェーズなので素直でスピーカー比較にはちょうどいいかな?という気もします。むしろESOTERICの方が主張が強そうでその個性分差し引いて聴く必要があるかもしれません。
それぞれの印象
WILSON AUDIO System6
まず一つ目はWILSON AUDIO System6から。ウィルソンオーディオは非常に個性が強いと言われていますが私は生で聴くのは初めて。もうすっかり古くなってしまったモデルですが、かつては評価も高かった機種だけにワクワクしていました。
出音の印象はとにかく「濃い!」そして低域の主張が強い!これは一つの魅力になる音だと思いました。バランスの良さよりも一つ一つの音の主張の強さで聴かせるような音。音源にも依るかもしれませんが非常に楽しい音だったと思います。
JOSEPH AUDIO RM55LE
続いてJOSEPH AUDIO RM55LE。一転してさらっとさわやか。低域の主張は弱く、非常に明るくスピード感のある音です。見方を変えれば音圧を感じないというか淡白という事も出来ますが、少し音量を上げてやると低域もしっかり出てきます。こうなると高域、中音域の透明感のあるクリアな音作りがとても心地よく感じました。噂通りの音の傾向だと思いました。ちょっと凄い。
Sonus Faber Cremona
3つ目はSonus Faber Cremona。一般的な評価としては女性ボーカルに艶があり、その方向では非常に濃い音と言われますが、実際聴いてみるとそんな印象はありませんでした。むしろ素直、スッキリ、低域もタイトで、でもしっかり力強さもあります。先の2機種と比べて非常にバランスも良い音です。悪く言えば個性がない。え?!でもあの「濃い」と言われたクレモナですよ?噂と違う!と思ってしまいました。もしかするとウィルソンオーディオとジョセフオーディオがそれ以上に個性が強いんじゃなかろうか・・・。
という事でまさに三者三様。改めてそれぞれ同じ音源で比較しながら聴いてみました。
比較して感じるのはウィルソンオーディオは少しエフェクトが掛かったような、エコーが掛かったような響きを感じます。これを心地よいと取るか、違和感と取るか、上流や音源によって評価は分かれそうです。
一方、この演出感が全くないのがジョセフオーディオ。それだけに逆に楽器の生っぽさ、現実感を一番感じます。妙な誇張もなく本来の楽器の音はこうなんじゃないか?と感じさせます。明るくてスピード感があるのは良いんですがともすれば軽くも感じます。
ソナスに切り替えるとエフェクト感も軽さもなく、とてもストレートな音。しっかり、くっきり、バランスが破綻せず聴かせてくれる事が魅力に感じました。ただつまらない音ではなく確かにボーカルの実在感を感じさせてくれます。
我が家に導入するとすれば?
正直我が家とは上流が違うのでそれを差し引いて考える必要があります。我が家のアンプはLUXMANとROTEL。DACはNorth Star DesignのSupremoなのでこの試聴環境よりも「柔らかく」「艶やかな」音作りになると思います。「低域の豊かさ」もより大きくなるでしょう。
そう考えるとウィルソンオーディオは更に低域が強くなり、更にエフェクト感が強くなるのでは?と想像しました。我が家の上流が掛け合わされてもっと癖が強くなる推測です。上流を変えない前提であればちょっとチャレンジすぎる選択になりそう。
次にジョセフオーディオは面白いんじゃないかと思いました。このやや軽いタッチの音に艶やかさと豊かさが加わる事でバランスの良い音になり、それでいて強みである歪みのなさ、クリアな音作りを活かせる気がしたのです。
最後にソナスはその良さがそのまま拡張されて、本来のクレモナのイメージである艶のあるボーカルが強調され、それでいて高域も低域も弱くならない。そんな音になる事を想像しました。
個人的に、もし導入するとすればジョセフオーディオかな?と思います。もちろんクレモナも良い音で鳴ると思うんですがちょっと普通かな・・・と。あのクレモナを取り上げておいて「普通」とはなにごとか!と自問するところではありますが、聴き比べた印象で言うとこれが素直な感想。
ジョセフオーディオは何とも言えない魅力を感じました。生々しい音で実在感が凄い。これで豊かさがちゃんと加わってくれれば今の環境を置き換える魅力になると感じます。でもちょっとギャンブルかな~と思いました。
我が家のメインスピーカーはinfinityのIRS-SIGMAですが、これがまた雄大な低音、繊細な高音、艶やかな中音域を実現してくれるお気に入りの音でもあります。高さ149cmという巨大な躯体から「鳴り響く」という表現がピッタリなモデルなので、大きく違った強い魅力がなければ置き換えるのは怖いところもありますね。
という事で、非常に楽しい試聴をさせて頂きました。我が家のIRS-SIGMAは正直大きすぎると思っています。大きな部屋で一定の距離を置いて聴くのに良いスピーカーで、我が家ではニアな設置になっている為距離感の合うスピーカーに置き換えたいという思いもあります。そう考えると今回の3モデルはどれも丁度良い大きさでとても興味を持ちました。
他にもアフロオーディオさんには色んな中古在庫があります。私が伺った時にはソナスのストラディバリウスやYG、B&W、AVALONなどもあり(もちろんその時々で在庫は変わりますが)結構聴き比べてみたいスピーカーが沢山ありました。
横浜の鴨居駅から徒歩15分くらい?掛かりますが、のんびり散歩しながら向かう道のりも良かったです。また機会あれば行ってみたいと思います。