我が家ではオーディオは基本的にPCオーディオとして楽しんできました。かつてはCDプレイヤーなども使っていましたが、ポータブル目的で大量に取り込んだ音源、利便性の高さ、ハイレゾ移行もありすっかりPC→USB DACという運用が基本になってしまいました。
ところが、PCは家族共用でもあるので自分が使いたい時に使えなかったり、音楽を聴くためだけにPCを起動させるのが面倒だったり、またどうしてもPCの動作音が気になる。という事で、ミュージックサーバーを別途用意したかったんですよね。正直なところ音質は現在のPCと同等であれば良いかなというところ。
そこで、発売から3年近くになって今更、という感もありますがDELA HA-N1AH20/2を導入する事にしました。
ミュージックサーバー検討
方法論はいくつかありました。そもそも音源ファイルで音楽を聴くためには「音源ファイルを蓄える機能(サーバー)」「音源ファイルを再生する機能(レンダラー)」「ファイルを検索したり再生指示を出す機能(コントローラー)」の要素が必要です。
例えばPCはこの3つの機能全てを持つことが出来ますが、PCレスにするにはこれらの機能をどのような機器で組み合わせるか検討が必要になります。
まず最初に考えたのがオーディオサーバとして非常に安価なI-O DATAのSoundgenicです。
アイ・オー・データ
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ポチップ
3万円台で購入できる2TBのストレージ内蔵サーバーですが、USB-DACに直接接続する機能もあるのでサーバー兼レンダラーとして稼働します。スマホやタブレットをコントローラーとしてファイル管理、操作をする形ですね。上位にSSDモデルもあります。
安いのでとりあえず買ってみようかと思ったんですが、ネット情報では「LAN接続の音質は高価なモデルに負けないくらい良いが、USB接続の音質はかなり悪い」というものばかりでした。もうLAN接続とUSB接続では別物だ。とまで言う方もいます。我が家のDACはLAN接続が出来ず、純粋なUSB-DACとして使用する事になるのでUSB音質が酷いと言われると躊躇してしまいますよね。
そこで次の価格レンジで考えてみたのがネットワークトランスポートのSOtM sMS-200 Neoです。
SOtM
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ポチップ
こちらはストレージは内蔵していませんがハードディスクを繋げればNASになりますし、USB-DACに繋いで再生する事も出来るコア機能を持つ商品です。音質もそこそこの評価があり価格も8万円台とバランスの良い機器だと思いましたが、電源も強化する必要がありそうですし色々試行錯誤するよりもやっぱり一体型の方が取り回しやすいかとこれまた一歩踏み出せずにいました。
そして、これまで何度も買おうと思って買わなかった本命がDELAやfidataといったいわゆる王道ミュージックサーバです。
価格感で言えばfidataは30万円台~60万円台、DELAは10万円台~70万円台まで用意されています。fidataは上質で落ち着きのある音、DELAは元気で力強い音と印象が語られることが多く、音質だけで言うならfidataが上、操作性まで含めるとDELAは優秀というような評価が多いようです。
とにかく気になるのはDELAなら10万円台で買えてしまう事。これで良いなら最初のチョイスとしてはベストです。実は初代機から何度も買おうと考えていたんですが、当時から「エントリー機の音は知れている」「追い込んだPCの方が上」と言われていたので「PCより音が悪くなったら無駄な買い物になるなぁ」と思ってこれまた敬遠していたんですよね。でも、いよいよ覚悟を決めて検討する事にしました(笑)
DELAのラインナップ
・まずエントリーモデルのN1Aシリーズの2世代機。2TB版と4TB版がありますがどちらも20万円前後です。(※今は第3世代)
DELA
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・次に上位モデルのN1Zシリーズの2世代機。SSDモデルは70万円台と高価ですが、HDDモデルなら40万円台になります。
・そして昨年登場したハーフサイズモデルN-100。15万円ほどで買えるので新たに登場したスタートモデルと考えられます。
DELA
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・上位にN-10というモデルもありこちらは60万円台と一気に価格が上がりDELAの中でもかなり高音質のようです。
DELA
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ポチップ
さて、考えていきたいのは10万円台のモデルで十分と判断できるか?です。
N100は一番新しいモデルで制振設計ではN1Zに通じるものがありますが、基本的にはハーフサイズ、ACアダプタ電源、価格も安価とN1シリーズより下位モデルと想像しました。電源を強化する楽しみもありますが、それなら素直にN1Aでいいかなと。
N1A/N1Z を比較してみる
そこで「N1A/2」に焦点を絞り、初代機やN1Zの違いを調べてみる事にしました。実際に比較試聴する事は出来なかったので、もう完全にネットに落ちている情報からの推測です。
エントリー機 N1A → 第2世代 N1A/2
上位モデル N1Z → 第2世代 N1Z/2
というモデル構造になっていますのでそれぞれネットでの評判を見てみました。
N1Z > N1A (上位モデル > 下位モデル)
N1Z/2 > N1Z (上位モデル 第2世代 > 上位モデル 第1世代)
N1A/2 > N1A (下位モデル 第2世代 > 下位モデル 第1世代)
という評価は容易に見つけられました。これはメーカーや広告目線から見ても当たり前の評価でしょう。
なかでも興味深いのは
・N1AとN1Zよりも、N1AとN1A/2の方が大きな変化を感じる
・N1Aはイマイチだったが、N1A/2で生まれ変わった
・N1Z/2の方が良いが、N1A/2の方が驚きを感じた
とN1A/2の評価が高い情報がちらほらあった事です。
真に受けるなら音質は
N1Z/2>N1A/2>N1Z>N1A
という順番もあり得ます。
N1Zは75万円。N1A/2は17万円程度ですから、これが同等だとするならいかに世代差とはいえ破格のコスパです。
実際にその作りを想像するために実機の画像比較をしてみました。
N1A/2
横幅が広く、前面にUSBポートがありますね。インシュレーターは小さいです。
N1Z/2
横幅が狭く、前面にUSBポートがなく、インシュレーターが大型でしっかりしています。
インシュレーターは第1世代の楢材とのハイブリッド仕様から変わってフル鋳鉄製になっているようです。
次に内部から違いを推測してみます。
N1AシリーズとN1Zシリーズは筐体の大きさが全く違いますね。N1Aでは普通のNASとは異なり1.6mm厚のアルミ板が使われていますが、N1Zは更に数倍の厚み(5mmや7mm板)があり、しかも4面の板が密着しないように設計されているそうです。N1Aよりも格段に共振対策が取られている事になります。また本体内もN1Zはアルミ板で区分けがされていますね。ほかにも背面にアース端子を用意したり、ストレージの振動対策をしっかり取ったマウンターを用意するなど、さすがN1Zはそもそもの作りが違うようです。
次に基盤類ですが、N1Aが一見スカスカに見えるのは基盤の違いもありますが、そもそもボディサイズが違うのでN1Zはギッシリ詰め込まれているように見えます。中央の基盤は全く同じ基盤なので筐体のサイズの違いがよくわかりますね。
あとはモデルによってHDDかSSDか、それも搭載1台か2台かなどの違いがあります。製品設計上はSSDが上位として扱われており、当然静音性も高くなりますが音質面では「HDDの方が元気があって好きだ」という方もいらっしゃるようでここは好き好きかもしれません。
さてでは内部の基盤自体を比べてみます。役割別にそれぞれ比較してみました。
分類するといろんな事が分かってきますね。
N1A
ベース基盤、電源ノイズフィルタ、リレー、電源ユニット
非常にシンプルな構成です。
N1Z
ベース基盤、電源ノイズフィルタ、リレー、電源ユニット×2、コンデンサバンク×2
電源部分に明らかな強化が図られています。
N1A/2
ベース基盤、電源ノイズフィルタ、リレー、電源ユニット、コンデンサバンク、DAC専用USB端子
N1Z譲りのコンデンサバンクを搭載し、DAC用のUSB端子も追加されました。
N1Z/2
ベース基盤、電源ノイズフィルタ、リレー、電源ユニット×2、コンデンサバンク×2、DAC専用USB端子
N1ZベースでDAC用USB端子も搭載された全部入り。
ここからN1AシリーズとN1Zシリーズの大きな違いは次の通りだと分かります。
電源ユニットの違い
N1A(/2) コンデンサー10個の電源ユニット1つ(60W電源が1つ)
N1Z(/2) コンデンサー5個の電源ユニット2つ(30W電源が2つ)
合計の電力は変わりませんが、N1Zではユニットが2つに分かれています。情報によると2つの電源ユニットはストレージ用とそれ以外で分けられておりノイズ対策に役立っているようです。
コンデンサバンクの違い
N1A コンデンサバンクがない!
N1A/2 第2世代コンデンサバンク(コンデンサ数6)
N1Z 第1世代コンデンサバンク(コンデンサ数8×2)
N1Z/2 第2世代コンデンサバンク(コンデンサ数5×2)
どうやらこれがかなり肝になっている気がします。コンデンサバンクがある事で電力を蓄えながらコントロールするので安定的でクリーンな電力供給ができます。初代N1Aはこのコンデンサバンクがないのが音の余裕やS/N感の力量不足に繋がっていると思われます。
また、N1Zを見ると第1世代と第2世代で基盤そのものとコンデンサ数が違っています。第2世代は新たに開発されたコンデンサバンクとの事でコンデンサ数自体は減っているもののより電力供給が強力になっているという事ですね。
N1Z第1世代(コンデンサ数8×2)よりN1Z第2世代(コンデンサ数5×2)の方が能力が高いのはもちろんとして、
N1Z第1世代(コンデンサ数8×2)とN1A/2第2世代(コンデンサ数6)とではどちらが能力が高いのか??がポイントですね。
何となく評価と組み合わせると、ノイズ面では第1世代N1Z、力強さでは第2世代N1A/2が優位なのかもしれません。
またそれぞれ第2世代の強化点として「ノイトリック製のUSB-DAC用USB端子」がセットされている事が挙げられます。
この点も第1世代N1Zより第2世代N1A/2が上回っているポイントだと思います。
第1世代(N1A)
第2世代(N1A/2) 左部に専用端子が付いた
ただ、内部構造を見てみると、この端子のみUSBケーブルで基盤と接続されており、内部配線上本当にこちらの方が音質がいいのか何となく不安になります。これはN1A/2、N1Z/2ともに共通です。
ネットでも基盤直結型のUSB3.0端子を使った方が高音質だと感じられている方もいるようです。
内部基盤から想像する格差
さて、ネットでの評判も含めて内部基盤を確認してみましたが、確かにN1A/2はN1Zシリーズのエッセンスをしっかり取り入れて大きく第1世代機からグレードアップしているように見えます。使われているパーツ類も第2世代のものですから、第1世代N1Zと第2世代N1A/2は比較に値する肉薄があっても不思議ではありません。
ただ、その物量、基盤構造を見るに、やっぱりN1Zは世代が違うとは言えかなり格上なのでは?というのが内部画像から見た印象です。シャーシや脚などかなり拘って作られているのもわかりますし、とにかくN1Aから徹底的にノイズ、振動対策を取ったのがN1Zと言えるでしょう。勝手な想像ですがN1A/2がN1Zを上回っている事はない気がします。
但し、それは同価格帯ならN1Zを選ぶべきだ。と言うだけで、価格差から見ればN1A/2(17万円)に破格のコストパフォーマンスがあるという事は間違いないでしょう。内部を見る限り、安かろう悪かろうではなく明らかに一押しモデルとなるだけの作りこみがされているように思えます。
結論:N1A/2の音質に関するコストパフォーマンスはかなり期待できる。
という事で、今回私はN1A/2を導入してみる事にしました。
但し、DELAの唯一の不安はLAN配信だとmp3もサポートしているのに、なぜかUSB接続の場合はmp3がサポートされていない事。
保有音源はDSDやFLACなども多いですが、古くから聴いているmp3音源もかなりあります。USB接続で聴けないと不便だなぁ。と思いましたがここはこれまでの経験則から「USB接続でもmp3は再生できるに違いない!」と勝手に信じて試してみようと思いました。