今回は体験アトラクション型のものを紹介し、最後に全体評価をまとめたいと思います。
●GalaxyStudio
東京丸の内の「KITTE」でSamsungが実施していたVRイベント「Galaxy Studio」を体験してみました。
http://www.samsung.com/jp/galaxy-studio/
ここでは、カヤック体験、ジェットコースター体験、マウンテンバイク体験が出来たのですが、全て360度実写映像で乗っている気分を味わえる。というものです。
これまで書いてきたとおり、Gear VRは位置トラッキングのないスマホVRなので「あたかも自分がその世界に入り込んだ」ような感覚ではなく「360度映像の中心で鑑賞している」という雰囲気です。また、実写映像型にも本来2パターンあって、きちんとオブジェクトが立体化されるものと単純に投影されるもの。本コンテンツは後者型なので益々映像を見ているという感覚が強いですね。
総合評価:10点
実機に乗る分雰囲気は出ますが、別に自由に動き回れる訳でもないので色んな種類の椅子に座った。というだけで中身はスマホVRでした。
●ツクモ VIVE体験
これは単なるデモ体験ですがツクモでhtc VIVEの体験コーナーがありますので、こちらも行ってみました。
http://shop.tsukumo.co.jp/special/160707v/
体験できるのはコンテンツ1つだけ。と言われたのですが、半分ずつの時間でいいので2つ試させてくれませんか?とお願いして了承頂きました。(結局2回来ても店員さんも面倒でしょうし)
「The Lab」というミニゲーム集
それから「The Blu」という海底鑑賞コンテンツを体験しました。
どちらもしっかり位置トラッキングが効いていて、海底ではしゃがんで間近でサンゴを見たり、短い時間でしたがVRならではの体験が出来ました。
VIVEはPSVRの2倍の値段がしますし、ハイスペックPCも必要なので性能は十分なので、あとはコンテンツ次第ですね。
総合評価:40点
VIVE自体の評価はもっともっと高いですが、10分程度の体験しかできないので本当にサワリといった感じ。それでも無償で10分ちゃんとしたVR体験できるんですから他のアトラクションよりこっちの方がいいんじゃない?と思ってみたり。
●池袋サンシャイン60 天空でVR体験
では次は池袋へ。サンシャイン60展望台で開催されているVR体験です。位置トラッキング対応のHTC VIVEを機材に使っているので非常に楽しみにして行きました。
テレビなんかでもVRアトラクションとして紹介されたことがある「TOKYO 弾丸フライト」は大きな大砲の中に入って東京の空を飛び回るVRです。もう一つの「スウィングコースター」はブランコに乗って、これまた東京の上空をジェットコースターのように駆け回るVR。
折角のVR体験なのに、なんで2つとも同じコンセプトのVRにしてしまったのか非常に残念です。さて、感想を結論からいうと、これまた非常にガッカリな内容でした。
まずCGが圧倒的にショボい。もう初代プレイステーションやセガサターン時代に戻ったかのような低品質なグラフィックで、まずこれで没入感が削がれます。一部確かに自分の近くを疾走したり、目の前にオブジェクトが来たりしますが、ほとんどリアリティがなく、これだとスマホVRとの違いをあまり感じないと思います。次に、せっかくの位置トラッキング型VRなのに、ほぼ活かされていません。確かに大砲の角度が変わったり、ブランコに乗ってゆらゆらしたりと変化がありますがグラフィックのショボさも相まってガッカリな感想しか残りませんでした。
VIVEは本来非常にポンテンシャルの高いVR方式で歩き回ってVR体験できる構造になっています。今回のアトラクションはそのメリットは使わずに固定式にしてしまったので勿体なかったかもしれませんね。というか、これならスマホで良かったのでは?と思います。
総合評価:10点
VIVEを使っていながら全くVIVEの良さを使えていないのがガッカリ。htcが支援しているのかもしれませんが、これでは逆効果です。VRの素晴らしさも全く伝わらないばかりか、むしろ誤解されてしまいそうでより罪が重いです。ちなみに弾丸フライト600円、スウィングコースター400円掛かります。オススメしません。
●渋谷 ADORES VR PARK TOKYO
お次は渋谷です。ゲームセンターのADORESの中にあるVR PARK TOKYO
3,300円(予約2,900円)とやや高額ですが、沢山あるVRコンテンツを80分間遊び放題。というタイプで楽しいですね。
両手に剣を持って戦ったり(ちゃんとボスもいて、クリアもあります)
ジャングルの中をジャンプしながら冒険したり
ビルの上空で銃撃戦をしたり
一つ一つがミニゲーム(ミニアトラクション)になっていて沢山のコンテンツを楽しめます。ただコンテンツ自体のクオリティはさほど高くありませんでした。まず、グラフィックレベルが低い(これまた初代PSレベル)、サウンド効果がほとんど使えていない(もっと派手な効果音が欲しい)、ゲーム性が低い(当たり判定が杜撰、深みもない)という感じで、ソフト側の品質の低さがとにかく勿体ないものでした。
こちらもVIVEを使っていますが、VIVEはもっともっと高画質で高品質なコンテンツを作れます。コンセプトとしてはとても面白いパークでしたが、ソフトが足を引っ張った。という感じですね。
位置トラッキングはちゃんと使えてました。避ける、後ずさる、しゃがむ、などの効果もちゃんと使うよう作り込まれていましたし、両手にコントローラーも使用するのでVR体験としては正しいものになっていたと思います。
ちなみに4人で行ったのですが、4人一緒に行動すると時間が足りませんでした。バラバラに動くべきですね。
総合評価:50点
一度行ってみて良かった。とは思えますが、もう一度約3,000円払って行くか?と言われれば微妙です。
●お台場ジョイポリス ZERO LATENCY
最後はお台場ジョイポリス。動き回れるVRという事で最も期待値の高かったVRアトラクションです。こちらは他のアトラクションで使われていたVIVEではなく、Oculus Rift(の強化版?)が使われているようです。
http://tokyo-joypolis.com/attraction/1st/zerolatency/
これは本当に凄かった。自分が想像していたVR体験を超えたのはPSVRとコレだけです。そしてZERO LATENCYはPSVRのコンセプトでは絶対に辿り着けない巨大空間でのアトラクションを実現した日本初のVR体験です。
やいのやいの言う前にこの動画を見てください。これがZERO LATENCYです。これ見ただけで他とは違って別格だと分かると思います。
まずZERO LATENCYでは6人でパーティーを組みます。私たちは仲間4人で行ったので、あと2人カップルの方と合同になりました。
この6人で300平方メートル弱の空間を自在に歩き回ってゾンビを倒します。他の人と「ぶつかるんじゃないか」って?ぶつからないんです、何故ならちゃんとVR空間にその人のキャラクターが見えているからです。また、それぞれはマイクとヘッドホンを付けており仮想世界内で会話が可能です。「1階に敵が溢れてきた!」「まずデカいやつを倒そう!」と声を掛け合いながらチームプレイします。まさに「仮想現実」。歩く、避ける、しゃがむ、振り返る、見上げる、全ての動作が仮想世界の自分とシンクロします。また、周りの仲間が実際どんな姿勢で、どんな動作をしているのかが全部分かります。約15分のゲーム体験ですが、非常に密度の濃いVR体験でした。
残念なのはグラフィックレベルくらいで(それでもPS2くらいはあるんじゃないかな)、その他の体験としては現時点で出来る「VR体験」の最高峰じゃないかと感じました。これもっともっとグラフィックレベルが上がれば、イケメンキャラにもなれるし美少女キャラにもなりきれますね(笑)
一度VR体験してみたい!というあなた。他のものは全部やらなくていいので、是非ZERO LATENCYをやってみてください。「あー。VRってこういうことか!」が分かります。アトラクション型の中で唯一、もう一度やってみたい。と思わせるコンテンツでした。
総合評価:90点
現時点ではトップレベル。10点のマイナスはPSVRよりグラフィックレベルなどが落ちる点。更なる向上に期待したいですね。
まとめ
色々アトラクション型も含めて体験してみましたが、思った以上にクオリティに差がある事が分かりました。どれか適当に行ってみて「VRってこういう事か」と理解するには格差がありすぎるので、この記事を見た皆さんはお台場ジョイポリスに行くことをお勧めします。正直それ以外のものを経験するくらいならPSVRをやって頂きたいですね。
PSVRの評価も加えて全体評価を振り返りましょう。
スマホVR・・・20点
現時点のコンテンツではほとんど楽しめないので厳しい評価です。今後出てくるDayDream等でのコンテンツの充実に期待したいと思います。また現時点では位置トラッキングがないので、位置トラッキングに対応したスマホVRが普及してくればいいですね。
GALAXY Studio・・・10点
YoutubeにあるVR動画をカヤック型、自転車型の椅子に座って観た。という感じ。わざわざ行ってまで体験するのはどうかな?という感じ。無料なのでいいですかね。
ツクモVIVE体験・・・30点
何気にちゃんとした体験が出来るという意味ではとても良い。ただSteamで買えるVIVE用のゲームは数はそれなりにありますが、最高峰と言えるものはPSVRの方にしかない気がします。どうなんでしょう?
天空でVR体験・・・10点
これは本当に残念でした。休日の昼間とかに行くと結構並ぶ可能性もあるので「並ぶ価値はない」と教えてあげたいです(笑)
VR PARK TOKYO・・・50点
色々VR体験するには良かったですが、何しろミニゲームとしてのクオリティが結構低いのでそんなに興奮して盛り上がる感じではないですね。
ZERO LATENCY・・・90点
こっちは興奮します。もう仮想現実に入った雰囲気が凄い。歩き回れるVRを体験したのは唯一コレだけなので、外で体験するなら間違いなくコレ。
PSVR・・・90点
PSVRは歩き回るプレイを想定していませんが、それでもZERO LATENCYに匹敵するVR体験が出来ると思います。
特にVR体験という意味で優秀なコンテンツは「バットマン」です。いつまでも凝視してしまう程のグラフィックの美しさ、重厚な映像/サウンドと世界観など、ちょっと短いのが残念なのでもっと長編版を作って欲しいですね。また、このテイストでの作品が他にも出てきてくれることを期待せずに居られません。
他のアトラクションにはない特徴として、PSVRのゲームでは「引き出しを開ける」「スイッチを入れる」「写真を手に取って裏返す」「右手で持っているものを左手に渡す」といった自分の手元での作業が結構あって仮想現実感を高めてくれます。バイオハザード7、ロンドンハイストなんかもその雰囲気がよく出ていますね。こうした仮想現実感はアトラクション型のものではなかなか味わえません。
PSVRの欠点はソフトのクオリティ差が大きいので玉石混合というところ。むしろまだまだ低品質のゲームの方が多いかもしれません。例えば最近発売された火星を探査するゲーム「アンアーシング・マーズ」は宣伝されているスクリーンショットではなかなか面白そうですが、実際にやってみるとグラフィックはショボい、ゲーム内容もイマイチという感じで、期待と品質がマッチしていません。
ですが中でも良質なコンテンツを体験する事ができればスマホとは別次元の高クオリティで、アトラクション型とはまた違う凄さがある。と感じて頂けると思います。
という事で、精緻でリアリティのあるフルサイズコンテンツを体験できるPSVR。動き回ってワイワイアトラクションを楽しめるZERO LATENCY。この2つが現時点で私の中での2大VRとなりました。
2017年夏には新宿に「VR ZONE」(昨年お台場でやっていたもののバージョンアップ版)が期間限定開催されるそうなので、これも楽しみにしています。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1048069.html
そして、まだ予定はありませんが今後アトラクション型で期待したいのはコレ。絶対日本にも来て欲しい!
ZERO LATENCYが何もない空間だったのに対し、こちらは実際に壁があったり、タッチパネルに触れたり、触れてその世界感じられるVR。早くやってみたい!