ハイトスピーカーを導入してAuro-3D デモDiscを楽しんだり、様々なサラウンドコンテンツやアップミックスを楽しんでいるうちに、もうちょっと本格的にサラウンド環境を強化したいと思うようになりました。
そこで「サラウンド環境強化プロジェクト2021」と題して第1弾は「センタースピーカーのジレンマ」に着目したいと思います。
ドルビーアトモスコンテンツはもちろんアップミックスでサラウンドを楽しむにもセンタースピーカーは非常に重要です。でもセンタースピーカーは大抵テレビの下に置かれていて音の位置が下がってしまうというジレンマがあります。ここはある意味サラウンド改善最大のチェックポイントだと思います。
音が下から聴こえてくる
今のフロント環境はこんな配置になっています。
テレビ台の中にセンタースピーカーがあり、台の上にテレビが置かれています。ローテーブルなので本当にセンタースピーカーは床に近いところに設置されていて、テレビまでの距離も5cmくらいあるのであきらかにセンターのボーカルは「下から聴こえてくる」状態。
テレビの真後ろに設置する事が出来ない以上これはサラウンドスピーカー配置の宿命です。
この音のアンバランスさを嫌って「センター無し」にして左右のフロントスピーカーにセンターチャンネルの音を振り分けるファントム再生にされる方も少なくありません。
ただ、左右に振り分けてしまうといわゆるステレオ的な聴こえ方になり、確かに中央に音像は定位するんですがサラウンドの分離感を楽しむことが出来ません。もちろん設定を追い込んでいけば「あたかもセンターチャンネルがあるような」サラウンド感を得られるのかもしれませんが、我が家の場合はセンター有り/無しで比べたところ、やっぱりセンターに音が割り振られている方が立体的な表現となりましたのでセンターは残しておきたいところ。
耳の高さとの違いが大きい
ご覧の赤い横棒がリスニングポイントでの耳の高さ=目の高さです。(写真はハイトスピーカー設置前のものを使っています)
実はテレビの高さが低くて結構見下ろすような視聴になってるんですよね。見上げるよりは見下ろす方が目にも首にも負担が少ないためいいんですが、それでも若干低すぎるかな?という印象。
・床からテレビ下部までの高さは40cm
・赤ラインを耳の高さとすれば、テレビの下まで65cm+テレビの台座とテレビ台の天板で5cmほどあるので計70cmも下からの音を聴いている事になります。
このテレビ下部とセンタースピーカーまで5cm離れているのもボーカルが実際の口の位置よりも明らかに低いところから聴こえてくる要因になっています。
改善策
この問題を少しでも改善するには2つのアプローチがあります。
1.センタースピーカーの位置を高くする事
2.テレビ下部とセンタースピーカーの距離を限りなく小さくする事
1だけを実現するなら単にテレビ台を高くすれば良いです。でもテレビとセンタースピーカーの距離はこれ以上縮まりません。また極端にセンターの位置を上げてしまうとテレビ自体も高くなりすぎる可能性が出てきます。
そこで、テレビは別途テレビスタンドに設置し、センタースピーカーをテレビ台の上に持ち上げる方法で検討する事にしました。
テレビスタンド導入
センタースピーカーをテレビ台の上に設置する為、テレビスタンドを購入しました。
購入したのはこちらのブラウンモデル。地震も怖いので耐震試験されているモデルを選びました。
到着したので組み立てていきます。耐震性能も高いだけあって土台も重くてしっかりしています。質感も思ったよりいい!
支柱たちもしっかりした材質で安心感がありました。
ボルトが多すぎないか?と思ったんですが、これはテレビの種類によって最適なものを選んでください。というものでほとんどのテレビにどれかのボルトが当てはまるという非常に贅沢なキットになってました。ですから実際にはほとんどのボルトを使いません(いつか別用途で使えそう)
スタンド部分の組み立てはスムーズに終わりました。組み立て式でよく陥る「ネジ穴の位置がちょっとズレてて入らない!」なんて事もなくホッとしました。ホントそれだけが嫌なんですよね。
一旦スタンドは最も低い位置に、稼働棚は最も高い位置にセットしました。
背面から見たところ。転倒防止用のワイヤーも付いていました。
テレビをセット
一番怖かったのがテレビから「台座」を取り外し、スタンド設置用のパーツを付ける作業です。
この作業をするために一度テレビを倒して置かないといけません。我が家のテレビはLGの65C9P。パネルが非常に薄い有機ELテレビです。2人でテレビを横に倒しましたが、下の方と上の方を持って斜めにするとそれだけでテレビがたわみます。「あああああ。やばい壊れる」と思いながら何とか横に。毛布の上に置きましたがそれも「あああああ。画面が毛布に擦れる」ととにかく不安でいっぱい。
正直、これで設置してパネルが壊れて変な色味になったりしたらどうしよう。というのが一番怖かったです。
不安を抱きながらスピーディーにパーツを取り付け。ボルトはM6の30mmがちょうど良かったですね。
そしてまた2人でスタンドに設置。以前は55インチだったんですが55インチは2人で作業すればテレビ台に乗せるのも非常に簡単でした。でも65インチになると途端に難易度が上がりますね。更に今回はスタンドへの設置でしたのでホントに怖い。
そしてこの背面の2本のパーツ。標準的なところに付けてみたんですが、まずパーツがテレビの下にやや飛び出てしまうのと、稼働棚が一番上だと干渉して設置できませんでした。
仕方ないので稼働棚を少し下げて再チャレンジ。何とか仮置きできました。
あれ。思ったより高い・・・。フロントスピーカーの高さとマッチしているのでそういう意味では悪くないんですがソファから見ると結構見上げる感じに。ここまで高いとセンタースピーカーとまた距離が空いてしまいます。
ここで気づきました。スタンド自体を低く設定するだけでなく、テレビに取り付けるパーツもちゃんと位置を考えないといけなかったんだ・・・と。
一旦テレビを取り外して、また毛布の上に倒してパーツの位置を変更。「あああああ。パネルがたわむ。毛布で擦れる」と心臓に本当に悪いので何度もやりたくなかったんですが仕方ない。
こんな感じでパーツの取り付け位置を変えます。右が変えた後。パーツをぐっと上に上げる事で相対的にテレビの位置を低くする事ができます。
何度も棚を外したり、試行錯誤しながらやっとしっくりくる形で設置できました。先ほどと違ってフロントスピーカーよりも低い位置でテレビを設置できました。センタースピーカーもテレビ台の上に置いてみます。うん。いい感じ。
改善ポイント
どんな距離感になったか再度チェックします。
改めて元の状態を振り返ります。
1.目の高さがテレビの80%くらい上部に来てしまいかなり見下ろすビューになっている
2.テレビの下部から5cm、耳の高さからすると70cmも下にセンタースピーカーがあり、下から聴こえてくる感じがかなり強い
これがどう変化したか確認してみます。
数値的に次の改善が見られました。
1.目の高さが60%の位置になり、中央やや見下ろすくらいでベストな視聴の高さになった
2.センタースピーカーが24cm上に上がり、テレビとの距離や耳の位置からの距離が縮まった
でも、ちょっと数値に違和感を感じませんか?床からテレビまでの距離は40cm→55cmと「15cmしか上がってない」のに、センタースピーカーは「24cmも上がってる」んです。台座分の「5cm」が縮まりましたがそれでも「20cm」しか縮める事が出来ないはずです。
センタースピーカーの設置にからくりがある
実は今回、センタースピーカーの位置のジレンマをギリギリまで改善するからくりを作りました。
これが従来の位置関係です。センタスピーカーはテレビ台の中に納まっており、テレビ下部との間には5cmの距離があります。これを縮めるとしたら最大改善は5cm=ゼロ距離。だと思いますよね?でも私はここをゼロ距離以上にしました。
そのからくりがこちらです。実は、テレビの下部よりセンタスピーカーの頭を4cmほど高くしているのです。つまり真正面から見るとセンタースピーカーがテレビに被る状態。でも、視聴位置からはきちんとテレビ下部まで問題なく見える角度を作りました。
事実、先ほどの写真を見るとテレビよりセンタースピーカーが下にあるように見えますよね?
この視聴位置からの角度を利用してテレビ下部とセンタースピーカーの距離をマイナス4cm距離まで持っていきました。
もっとマイナス距離を大きくしてテレビすれすれまで持っていく事もできるんですが、ソファにダラっと深く座った時にセンタースピーカーが邪魔になるのでこのくらいがベストだと思います。目の高さから若干見下げると説明しましたが、これもソファにダラっと座り込むとちょうど中央かやや見上げるくらいになるんです。
また24cmスピーカーが高くなって耳からの高さ距離が70cmから46cmに縮まった事で、センターの音が下から聴こえてくるという違和感を少し改善する事が出来ました。
もちろんもっとテレビを持ち上げてセンタースピーカーを更に上げる事も出来ますが、そうするとこの角度のからくりはあまり機能しなくなりますし、テレビも視聴しづらくなっていきます。今回のセッティングは程よいバランスじゃないでしょうか。
一旦今日は暫定セッティングとなりますので、今後他のところにも手を入れつつ追い込んでいきたいですね。
という事で「サラウンド改善プロジェクト2021」第1弾はセンタースピーカーのジレンマ改善(+テレビの視聴位置も改善)でした!
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その後、ついにセンタースピーカーをなくしてファントム運用にする事になりました。その決断の記事はこちら。
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