いよいよ恐れていた事が、いや、期待していた事?!がゲーム業界から始まっています。
●クラウドゲーム配信をスマホでプレイ
数か月前、スクウェア・エニックスが「DIVE IN」というサービスを始めました。
クラウドでゲームを配信し、スマホでプレイ出来るようにする仕組みで、FF13などが利用料を支払って遊べるサービス”でした”
http://divein.jp.square-enix.com/index.html
”でした”と記載したのは、実は今新規プレイの受付を停止しているからなんです。
http://divein.jp.square-enix.com/info/info_N150401_01.html
じゃ、このサービスがどこへ行ったのかというと、形を変えてFF13がアプリストアに登場しているのです。
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20150410_697178.html
と言っても、この辺りの裏事情についてあーだこーだ言いたい訳ではないんです。
大事なのは「クラウドサービスによるゲーム配信が本格化する予兆」を感じる事です。
私もお試しプレイをしてみましたが、ちょこちょこビットレートが足りずに?ブロックノイズなどが出ますが、追いついているときは非常に美麗な(オリジナルに近い)グラフィックを再現しています。動きがカクつく事もありますが、本質的には配信会社が通信環境さえ整備すれば、オリジナルクオリティでプレイできるポテンシャルがあります。
実はこのクラウド配信によるゲームプレイはスマホだけではありません。
●ひかりTVゲーム
実は同様の仕組みで「ひかりTV」という映像配信サービスの中に「ひかりTVゲーム」という仕組みがあります。
http://game.hikaritv.net/
今やひかりTVチューナーを内蔵しているテレビもありますから、理屈としては「テレビ」さえあればFF13やアサクリといったPS3フルスペックゲームがプレイ出来てしまうのです。
空恐ろしいものを感じませんか?
●クラウドゲーム配信の行く末
今はまだPS3などの少し古いゲームを配信しているに過ぎませんが、数十Mbpsという速度で映像を送り込める昨今のストリーミングサービスですから、技術的にはPS4の最新クオリティのゲームをストリームでプレイする事も何ら難しい事ではないでしょう。
つまり、そのサービスが実現できれば「家庭内に高度な演算処理能力を持った機器」を置く必要などなくなるのです。各個人がPS4を買わなくても、PS4の能力をクラウド側が賄えば良いのですから。
消費者は「テレビ」と「ワイヤレスコントローラー」さえ手に入れれば、PS4だろうがPS5だろうが最新技術で動くゲームをプレイ出来る事ようになります。SCE(SONY)は個人消費者向けのPS5を開発する必要はなく、PS5で実現できるであろうスペックのゲームの「ストリーミング配信サービス」を行えばよい。という事になります。
まさにコンシューマゲーム機の崩壊です。
●コンシューマゲーム機は生き残るか?
コンシューマゲーム機の世界はハイスペックな処理マシンが鎮座する時代が終わり、様々な周辺デバイスを中心に「どのように画面と向き合うか」というスタイルこそが重要になっていくでしょう。
少し話は変わりますが、ちょうど1年前に「PS4とWii Uとゲーム機の進化と」というタイトルで記事を書きました。
私がそこで記載したのは
『据え置きゲーム機が生き残るには「据え置きでなければいけない理由づけ」が必要なんです』
『WiiUのようなコンセプトが成功しないとすると据え置き機の将来は明るくないでしょうね。』
というメッセージでした。
LINEゲームもいいですし、ガチャゲームも楽しいでしょう。私もやっています。でもその一方で、目を奪われるようなグラフィックや高度な処理技術が投入されたゲームもプレイしたいですし、Wii Uのように手や体を動かしたり、2画面を駆使したり、ワイワイみんなで盛り上がれるゲームもプレイしたいと思っています。そうしたゲームの発展が止まってしまう事が一番残念な事です。
クラウドゲーム配信という革命によって確かに業界のエコシステムは崩壊します。でも、放っておいても、スマホの台頭によって据え置きゲーム機業界は縮小の一途だったのです。もう何万円も払ってゲーム機を買ってくれる消費者は減る一方です。
であれば「消費者に処理装置を買わせなくて済むクラウド技術」こそが、逆説的に据え置きゲーム業界を救う唯一の方法になるんじゃないでしょうか。
任天堂が最近「クラウド」に目を付けた事も、非常に重要なターニングポイントになると期待しています。
●革命はゲーム機だけではない
冒頭で「ゲーム業界から始まっている」と書きましたが、勘のいい方は気づかれていると思います。
これは「ゲーム機だけ」の話ではない。と。
インターネットさえ繋がっていればあらゆるデバイスの処理は「クラウド」で良い事になります。その口火を切ったのはスマホやPCの世界だったかもしれませんが、それを革命的に具現化するのは「ゲームから」になるかもしれません。
そして、この概念が当たり前になるなら、パソコンにCore i7なんて必要なくなるでしょう。高度な処理は全てクラウドの向こうでやってくれるようになるのですから手元に必要なのは映し出す画面と入力装置だけです。
おいおい、メインフレームかよ!シンクラかよ!なんて言いたい人もいるでしょうが、このクラウドの流れはそんなものよりずっと凄いものになると思っています。
ありとあらゆる場所で「インターネットが繋がる」ようになり「オンライン」「オフライン」という言葉もなくなるでしょう。「オフライン状態」がなくなる訳ですから、全ての処理を完全にクラウドに委ねられるようになり、デバイスのハイスペック化の流れは止まります。
既にChromebookのようにデータ保存やアプリケーションはクラウド上に任せるデバイスも登場していますし、テレビの分野でもAndroid OSやfirefoxOSが搭載されていきます。こうした事例もまだまだ過渡期であり、ゲーム機がその物理存在を消していくように最終的には「PC」「テレビ」という「明確な概念」も失われていくでしょう。全てがクラウドの向こうにある為、サービスの種類によるデバイスの固有性がなくなるからです。
その結果「PC」や「テレビ」という垣根はなくなり、また全ての概念が崩壊します。残るのは「何のサービスをどんなデバイスで利用するか」という自由選択だけです。
これが私が想像するクラウド革命の未来像です。
ゲームにおけるクラウドサービスの浸透はそのくらい大きな変化をもたらす予兆に見えませんか?